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タイトル : 新・負け犬の遠吠え 4

1 氷犬

2002/06/29 02:49

新・負け犬の遠吠えも数えて早や4となってしもた。
前の「3」の冒頭から書き始めた「激情」は、ついに「3」では完結せんかったな。
どこまでダラダラと書くんやろ。(笑)
まあ、もうちょっとで終わらせよとは思うとりますんで、もう少々の御辛抱を。

さあ、それでは早速落書き書かせてもらいますな。

落書きその1(連番リセット!)

「激情」13

それは以前と同じ様に、和美の内腿の深い所に有った。
俺はここに居る。
赤い内出血は、それを付けたであろう男の存在をそう主張するかの様だった。
男の癖なのだろう。内腿に顔を潜り込ませ、きつく吸う。内出血をさせて自分の印と、悦に入る。決して上等の癖とは言い難いその行為が行われる様を想像した途端、俺は虫唾が走るような気分に襲われた。
そして、確か右足。
前に見た時に同じ物が付けられていたのは右足だったはずなのである。
今日のその印は、左足。右足の同じ部分を見ると、くすんだ黄色い点が有る。それが以前の印のなれの果て。
左足のこの印は、前に見た物とは違うのだ。
明らかに俺とその男は、和美を交点として交差していたのだった。
それに気付くと、途端に俺は虚脱感に襲われた。
不思議と、燃え上がるような嫉妬心などと言うものは湧き上がっては来なかったが、それ以上そのベッドでの行為を続ける気力は失ったのだ。
間違いなく昨日行われたであろう同じ様な行為。それを思うと当然の事なのかもしれない。
昨日の今日である。和美の中に入ると言う事は、その男の体液を和美という受け皿の中で自分自身になすり付ける事になる。そう考えると、俺は軽い吐き気をもよおした。
「どうしたの?」
行為を途中で投げ出し、ベッドに仰向けになった俺に、和美は甘えるように言った。
印の事を言ってやろうかと一瞬思った。
しかし、そんな事を言い募っても、嫉妬に狂った男の言葉にしかならない。
俺は確かにパトロンにはなった。しかしその金で和美の全てを買っているなどと傲慢な事は思っていない。本当に大切なもののやり取りは、金などとは関係ない部分で行われると信じて疑わなかったのだ。
「いや、疲れてるんやろ。なんか気分のらへんわ。」
俺の肩口に頭を乗せ、身体を摺り寄せながら和美が言う。
「お岩さん、抱く気にならない?」
冗談で言ったその言葉が、俺の感情を更にざらつかせた。
この状況で冗談を言えると言う事は、和美はあの印には気付いていないのだ。気付いていれば、何が俺のやる気を殺いだのかはすぐに分かる筈である。
気付かれぬ印を付けられた女。そしてその女を気付かずに抱こうとしていた俺。
何とも滑稽な二人である。情けないくらいに。
そしてその目の周りの痣も、多分その男に付けられた物なのだ。
全て嘘臭く感じられる。
ドアに自らぶつけて付けたというその痣。自分で付けると言った男とのけり。甲斐甲斐しく作ってある料理。笑顔で渡して寄越したダンヒル。
投げやりな気分が、俺の足元から全身に這い登ってくるのを、俺は止める事が出来なかった。

落書きその2以降へ続く。

ここでちょっと訂正。
今書いてる事が有った日やけど、前回の「激情」12で「和美と付き合い始めて3週間ほどたったる日の事。」と書いとるけど、良く思い出したらそやないわ。
正確には「付き合い始めて一月半ほど経ったある日」て事になるわ。
細かい事やから、どうでもええけど。(あ〜ええ加減(笑))
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2 YOU

2002/06/29 08:36

おはようございます!
土曜のこの時間にこんなこというのは、私くらい(笑)
なにしろ夜中の3時はほぼ冥界におりまするう。からね。

一番乗りです。しかもこの時間だと送信したあと、2番に
なっているということは、100パーセントないでしょう!

では、送信。えいっ(はずみつけるか・・。)
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3 YOU

2002/06/29 08:37

ほらね・・
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4 氷犬

2002/06/30 23:45

長いばかりでだんだんとおもろ無くなってきとるけど、YOUさん初めお付き合いいただいとる人たちには感謝や。
実は、この話、書くきっかけが有ったんよ。
そのきっかけちゅうのも、落書きの中で語るけどな。
で、明日の朝急遽出張が入って、今日は寝なならんので、落書きはお休み。
明日も札幌には居らんので、落書きは火曜日の夜に。
それでは又、あさっての夜に。
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5 氷犬

2002/07/03 00:34

さて、早速落書きと行かせて貰いますな。

落書きその2

「激情」14

「旅行でも、・・・・行こか。」
「え?」
「いや、旅行や。たまにはええやろ。」
「どうしたの急に。」
俺の突然の提案に、和美は怪訝そうな顔をした。
「いや、なんかそんな気分なんや。何処がええ?何処でも言うてみいや。」
俺の狡さだった。
俺は和美との別れを心の中で決めていた。
ただの嫉妬などという、馬鹿な感情のせいではなかった。
お互いの信頼関係という物に対する僅かな傷。それがお互いを傷つける事を恐れたのかもしれない。
このままでは和美への不信感はつのるばかり。かといって、それを払拭する術も無い。
無償の信頼を置くには状況が許さず、かと言って真実を問い質せばお互いの何かが壊れてしまう気がする。
そんな無様な関係はごめんだったのだ。
そして、それを言い出すきっかけを、俺は旅行に求めたというわけだ。
「そんな趣味、有ったんだ。」
「なんや、そう言うと変態性の趣味みたいやないか。」
和美はかすかに笑った。しかしその笑いは、どこか不安げだった。俺の変化に対する女の感なのだろうか。
「何処でもええで。ハワイでも、ヨーロッパでも。」
和美は少し考える様に、自分の鼻を腕枕をしている俺の脇に突っ込んだ。そして深く息を吸う。
「汗臭いやろ。」
俺が言うと、和美はそのままの姿勢で頭を振った。
そして少し間を置くと、思い切ったように言った。
「なら、釧路へ連れてって。」
「あぁ?釧路?釧路て、道東の、あの釧路かいな。」
聞き返す俺の言葉に、和美は頷きもしなかった。肯定の沈黙である。
「そんな近場やなくても」
「いいの。行きたいの。釧路へ。」
俺の言葉を遮る様に言葉を重ねた和美の声は、俺の脇の下でくぐもっていた。
そしてその後に訪れた暫くの沈黙は、俺の言葉と和美の言葉、それら全てを肯定していったのだった。

旅行の当日、和美は弁当を作ってきた。
飛行機で行く事を提案した俺に対し、和美はどうしても俺の運転する車で行きたいと言い張ったのだ。俺は仕方なく車を出した。
俺の車に乗り込んで来た和美は、いち早く弁当の包みを持ち上げて言った。
「お弁当、作って来たんだ。飛行機だと、周りの目も有るし、食べ辛いでしょ。」
えへん、とでも言う様に、和美は鼻を少し斜め上にあげる。
そして釧路までの道中、和美は妙にはしゃいでいた。
そんな和美を見ていると、薄味に仕上げられていたはずの卵焼きが、俺には妙にしょっぱく感じられたのだった。

落書きその3以降へ続く。
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6 まりかちゃ

2002/07/03 01:04

面白くないわけじゃないんですけど、、、私その女性好きくないんですな(笑)←これ感想か?(^^;A
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7 氷犬

2002/07/03 01:56

まりかちゃさん、
なるほど。
女性にはあまり好かれるタイプに書いてないかもな。
ちゅうか、女性が好む同性のタイプてわしよう知らんみたいや。(笑)
結構男から見た女の像て、女性から見たら鼻に付く所や嫌いな所が
強調されるのかも知れんわ。
まあ、わしの好みが特殊やて所も原因の一つやろけど。(笑)

けど、そういう正直な感想て、おもろいな。実におもろいわ。
どんな所が嫌いかも、教えてくれると尚オッケ〜なんやけどな。
忌憚無い意見、どんどんと聞かせてや。
削除キー   

8 まりかちゃ

2002/07/03 13:54

どこがどうとは言えないんだけれど。。。「何となく嫌い」の一語に尽きますね。(苦笑) これが一番でも正解だったりする(笑)
理屈じゃないものがね、あるのです。苦手な女には。同性でも異性でも同じなのだけれど、理屈抜きに「嫌い」と思う、または思える人がいるのですね。近づきたくないと。

氷犬さんの視点から見ているわけなので、もちろんそれで構わないわけなのですけれど。。。
この人見てると、なんかねー、イライラしてくるっていうか。。。
本心見えないっていうか。。。そんな感じ(笑)
削除キー   

9 かなめ

2002/07/04 00:48

私は「あー、男の人ってこういう女の人が好きなのかー」と、学ぶような気持ちで読んでます(笑)
でも、まりかちゃんの「本心が見えない」って思う気持ちわかります。そういう人が目の前にいたら、実際は腹立つもの・・・
削除キー   

10 氷犬

2002/07/04 01:54

まりかちゃさん、
>「何となく嫌い」の一語に尽きますね

その真綿で首を締める様な嫌われ方が、一番強烈な嫌われ方や。(笑)
わし自身がそうならん様に、気を付けよっと。(笑)

かなめちゃん、(一廻りも離れとったら、ちゃんでええやろ?(笑))
>まりかちゃんの「本心が見えない」って思う気持ちわかります。そういう人が目の前にいたら、実際は腹立つもの・・・

女性から見たらそうなんやろな。
けど男て、アホな生き物でな。
本心が見えへん様なミステリアスな女に結構ひかれたりするもんなんや。
そしてもっとアホな事に、本心を分かった様な気になってしまう・・・。
わしの場合もその傾向が強いみたいや。修行が足りん。(苦笑)


さて、落書きは明晩にでも書くとしよか。
削除キー   

11 ともちゃんだ!

2002/07/04 13:04

>本心が見えへん様なミステリアスな女に結構ひかれたりするもんなんや。そしてもっとアホな事に、本心を分かった様な気になってしまう・・・。
コレ、男女逆でも通じるのではないでしょうか。。。っていうか、ともに当てはまったりする(笑)

>修行が足りん。
はい!おっしゃる通りで。。。
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12 まりかちゃ

2002/07/04 14:43

謎が多い部分が魅力的なのはわかるんですよ。(笑)
本心を見せないのも、その手段かもしれない。けれどね、何か一つだけでも変わらないなにかを見せてくれる必要がある。

それが見えるだけでちょっと安心できると思います。

思うに、この女性の場合はそれがないのね。。。つかみどころがない。

>その真綿で首を締める様な嫌われ方が、一番強烈な嫌われ方や。(笑)
>わし自身がそうならん様に、気を付けよっと。(笑)

こう見えて結構好き嫌いの激しい性格なので(笑)
氷犬さんは大丈夫。今のところ(笑)



削除キー   

13 YOU

2002/07/04 20:49

しばらく絶句してました。(笑)
はっきりいって、氷犬さんの登場人物の女性、好きとか
嫌いとか思ってなかった・・。
かなり、距離置いてみてたというとこかな。

難しいなあ・・書くのが・・。
やっぱり、むずかしいわ。ぼそぼそ・・
削除キー   

14 氷犬

2002/07/05 02:48

ともちゃん、
>ともに当てはまったりする

未熟者どうしやな。(笑)
一緒に修行しよか?(わしがこう書くと、どうしてこう嫌らしさが出てしまうんやろか・・・・?)

まりかちゃさん、
どうして「大丈夫。」で文章を切ってくれへんのや!
「今のところ」・・・・うるさんが怖がるの、分かる気がするわ。(笑)

YOUさん、
物語として客観的に読むのも、当然アリやと思うで。
それに、そう言うてくれるとちょっとは気が楽や。(笑)

昨日は落書き「明晩にでも書くとしよか」て書いたけど、別の事に時間くって、書く暇がありません。明日には書くな。(あてにならんけど。(笑))
削除キー   

15 ともちゃんだ!

2002/07/05 11:49

○氷犬さま
>一緒に修行しよか
しましょっか!?え〜と、滝に打たれて荒行?それともお寺に行って座禅と読経?宿泊する場合もちろん部屋は別で!半径10M以内には近づかないこと!
・・・といって、ともの方から近づいたりして(笑)甘えん坊だし。。。

>わしがこう書くと、どうしてこう嫌らしさが出てしまうんやろ か・・・・?
それは関西弁が醸し出す雰囲気もあるかもね(笑)

>別の事に時間くって・・
氷犬さん、かっこいいですよぉ!
削除キー   

16 まりかちゃ

2002/07/05 15:25

>どうして「大丈夫。」で文章を切ってくれへんのや!
「今のところ」・・・・うるさんが怖がるの、分かる気がするわ。
(笑)

えーーーっっ?!だってわかんないじゃない(笑)
うるちゃんの言うこと真に受けちゃダメよー(笑)
だから、「今のところ」なんだって(笑)

そそ、ここでレスするのもどうかと思うけど。。。
「どうどう」(笑)いつか言われたお返しです。。。

言葉って微妙ですよねぇ。。。私は関西圏で生まれ育ったので氷犬さんの書き込みはさほど違和感を覚えないんだけれど。
でもね、間近で聞く大阪弁とかは、結構怖かったりする(笑)
そんなにまくしたてんといてって。。。早口だし。
多分のんびり喋ってるせいでしょう。まぁ、違和感は関東に行った時のほうが大きいんだけれど。
アクセントからなにから全部変えなきゃいけないから、頭の中で自動変換装置フル稼働状態(笑)
変換し損ねると、一気に無口になる(笑)

削除キー   

17 ともちゃんだ!

2002/07/06 01:38

>変換し損ねると、一気に無口になる(笑)
無口なまりかちゃんは、絶対怖い!!(はず)
削除キー   

18 氷犬

2002/07/08 00:05

ああ・・・・案の定、あてにならんかった・・・・。
明日にでも書こうかな、て4日の夜(5日の朝)に言うとって、今日は何日?
その間、何してたの?ちゅうと、はい、ごめんなさい。飲みに行ってました。
知り合いの店が急に閉めるちゅう事で、まあ言うなれば義理がけみたいなもんやけどな。
ああ・・・お得意の言い訳や。義理がけやったら、なんで3日も連続で飲みにいくんや、ちゅねん!!

え?3日?て思うた人は、おりこうさん。
書いたのは一昨昨日(さきおととい)。昨日と一昨日やったら2日やろ、て思うたやろ。
けど、ほんまは今日も行ってしもて・・・・実は今日は飲み帰りの書き込みや。
と、言う事で、例によって落書きはお休み。頭がまわらへん。
(長い言い訳や。(笑))

ともちゃん、
>宿泊する場合もちろん部屋は別で

いや、ご休憩って事で。(ああ、またオヤジ色満点や。(笑))

まりかちゃさん、
>間近で聞く大阪弁とかは、結構怖かったりする

方言全般に言える事かもしれんけど、特に関西弁て、標準語よりも感情の起伏を表現しやすい言葉やないやろか、て思うわ。相手の感情が剥き出しになるから、「怖い」て思うのかもな。
そやから、わし感情を極力押し殺した表現をする場合は標準語、感情を前面に出す表現をしたい場合は関西弁を使うてるんよ。
具体的には落書きとニュースやなんかは標準語。ここ辺りは関西弁。
そやけど、文字にしたらちょっと読みづらい事も分かるわ。
書く方も、微妙なイントネーションを表現できんし。
まあ、そやけど、このどぎつい色が、わしの色やしな。(ふか紫。(笑))
削除キー   

19 YOU

2002/07/08 20:29

義理が一番大事。ですよね。

で、今日は、よーく冷えたビールを当方にもご用意して
ございます。えっ、ビールじゃだめだって?
では、なんなりと・・・。(笑)

それにしても、暑いです。
けど↑の二人はすずしいのよねえ。くやしい=

>感情を前面に出す表現をしたい場合は関西弁を使う
てるんよ。
こんなにおとなしい私も、一番頭にきた時は、関西弁
アップテンポです。
(結構、迫力ある・・・つもり。。)

削除キー   

20 まりかちゃ

2002/07/09 14:27

義理にかかって生きている部分もありますもんね(笑)
ま、どうでも良いといってしまえれば楽なんでしょうけど。
後が怖い。。。

普段は思いっきりのほほんの方言使用してます。この方言あんまり早口ではないんです。早口の会話は一気に疲れてしまう。
アップテンポで喋るのは得意でもあり、不得意でもあり。(笑)

で今日あたりは肝臓が疲れてぐたーっとしてるのかな?(笑)
削除キー   

21 YOU

2002/07/09 19:29

>で今日あたりは肝臓が疲れてぐたーっとしてるのかな?(笑)
そうかも!
氷犬さんもなにかと忙しそうやし・・・・・・・・・・。
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22 氷犬

2002/07/10 01:42

まりかちゃさん、
>肝臓が疲れてぐたーっとしてる

ご明察!(笑)
ついでに脳味噌も半分以上トロけとるで。

YOUさん、
>義理が一番大事。ですよね。

「義理と人情を計りに掛けりゃ、義理が重たい男の世界」やな。(笑)
この歌詞で思い出したんで、今日は横道にそれてちょっと別の落書きするとしよか。

落書きその3

「銭湯」

昼間の、それも一番風呂の時刻ともなると、銭湯は老人とやくざ者の寄り合い所帯と化す。
羽振りのいいやくざ者は勿論街場の銭湯など行かず、サウナなどで物憂い午後を過ごすのだが、そうでないやくざ者は、情報交換の為にたまにはサウナにも行くが、日々は銭湯と相場が決まっている。
内風呂が無いわけではない。しかしやくざ者はなぜか人の集まる所が好きなのだ。
昼間は暇で仕方の無い不労所得生活者であるやくざ者は、一人でしんみりと内風呂に入るより、つい人の集まる銭湯に行ってしまうものらしい。

ある日の事。
猿が俺に言った。
「社長。たまに銭湯に行ってみないすか?」
事務所の留守番を雉に任せて、昼サウナとしゃれ込もうと車に乗り込んだ時の事である。
「銭湯?」
突然の猿の提案に、思わず俺は聞き返した。
「たまには風呂上りに、ビールじゃなくて冷たい牛乳なんてのも、いいんじゃないすかね。」
「ああ、懐かしいな。そんなんもたまにはええか。わしはコーヒー牛乳や。」
「あ、それだったら俺はフルーツ牛乳。」
「バナナ味は無いで。」
「なんすかそれ。」
からかった俺の言葉を軽く受け流し、猿は銭湯に向けてハンドルを切ったのだった。

猿のアパートの近くにある銭湯。
大きすぎず、小さすぎず、ちょうど手ごろな銭湯だった。
俺たちが着いたのは開店して間もなくだったようで、中を覗くと人影はまばらである。
俺がふと気付くと、番台のオヤジに入浴料を渡しながら、猿はその向こうを覗き込もうとしていた。
「お客さん、こんな時間は、ばあ様しか居らんよ。」
オヤジは金勘定をしながら、顔も上げずにしわがれた声でそう言った。
「ああ!?」
痛い所を突かれたせいで、猿は語気を荒げる。困った奴である。
「あ、おっちゃん、こいつマザコンの気が有るんや。ばばあのたらちね、見したって。」
俺は下駄箱に靴をしまいこみ、先にさっさと脱衣場に上がりこんだ。
「社長〜〜。」
ふてくされる様に番台のオヤジに舌打ちをすると、猿は俺の後を追って脱衣場へと上がって来たのだった。

浴室に入ろうとガラス戸を開けると、湯煙を透かして3人の先客が居るのが見えた。
その内二人は洗い場で体を洗っている最中。
そしてもう一人は湯舟に入ろうとしているのだろう。手桶に湯を汲み、掛け湯をしていた。
しかしその掛け湯は、掛け湯であって掛け湯にあらず。
風呂場だから辛うじて掛け湯だという事が分かるのではあるが、それはさながら修行僧の水業である。
手桶の湯を、思い切り勢いを付けて頭からかぶったのだ。
当然その勢いでは、湯は回りに飛び散る。洗い場で身体を洗っている他の客にもかかったのだが、客達は何も言わない。
「おいおい、えらい勢いの有るじい様がおるで。」
俺はこっそりと猿に耳打ちをしながら浴室の中へと入っていった。
中に入ると、少し視界がはっきりとする。
天窓から差し込む午後の日差しが、さながら天から降り注ぐ柔らかな光の様に、風呂場を照らし出している。
その中に、手桶を持って仁王立ちしている枯れ木が一本。洗い場には禿げた頭に泡のカツラを載せたミイラが二体。それが3人の先客の正体だった。
一見して、ミイラ二体は堅気の衆。しかし枯れ木だけは違った。
こちらに向けられている枯れ木の背中には、昔は堂々として見事であったろう、鯉の干物の絵が描かれていたのだ。
枯れ木はもう一度水業をしようとして、手桶に湯を汲む。そして二度目も同様に、勢い良く頭からそれをかぶった。
しかし今度は当然の如く、湯船に近寄って行った俺たち二人にもその湯がかる。
「おいおっさん!わしや皆さんに、湯ぅ掛かるやろ。人の迷惑考えんかい。ええ歳してからに。」
つい俺は声を出してしまった。
「どうせ湯につかるんだから同じ・・だ・・・・べ。」
そう言いながら振り向いた枯れ木は、俺と猿をその目に捕らえると、語尾を飲み込んでしまった。
途端に、洗い場のミイラたちの冷たい視線が俺に突き刺さる。
いつもの行事を邪魔するなとでも言う様な、あるいはよそから来たぽっと出の者が余計な事を言うなとでも言う様な、そんな視線だった。
老人達の妙な連帯感に、俺は瞬時に圧倒された。
「湯につかるから、てか。・・・・まあ、それもそやな。」
仕方なく俺は、その場の主達に一歩ひいて、そう言ったのだった。
「分かればいいさ。」
枯れ木が勢いを取り戻てそう言うと、猿がいきり立つ。
「ああ!?」
ミイラ達の視線も一斉に猿の方を向く。しかしその視線も、猿の野太い神経は貫かなかった。
しょうがなく俺は、そんな猿を押しとどめて言った。
「あ、おっちゃん、こいつ耳、耳遠いんや。勘弁したってや。なあ。」
猿は口の中で文句を言いながらも、不承不承俺のペースに合わる。
枯れ木は鼻で「ふん!」といったかと思うと、湯船に入っていく。
俺たちもそこらに転がっている手桶を持つと、掛け湯しようと湯を汲んだ。
しかし、その手が一瞬止まる。
湯が異常に熱いのだ。
しかし枯れ木は、事も無げに入っている。
人が入れない程の熱さではないのだろうが、それにしても熱い。
俺たちはなんとかそれを我慢して、手桶の湯をちょろちょろと体に掛けて洗う。洗ったはいいが、これではとても湯船に入る気が起きない。
俺と猿は同時に水道の蛇口の方へ視線を向けた。
と、その時である。枯れ木が口を開いた。
「水で埋めたりなんか、すんなや。皆、この熱いの楽しみで来てるんだからよ。」
俺と猿は顔を見合わせた。
『どないする?』
『はいります?』
お互い口には出さないが、目と目で問いかけ合う。
そんな俺たちが、意地でも入ろうと決めたのは、その直後の枯れ木の一言であった。
「図体だけで、根性はからきしでねえか。」
俺たちはカチンと来た。
「入ったろやないか。なあ猿。」
「そうっすね。」
カチンときたはいいが、熱いものは熱い。俺たちのその声は、多少裏返りぎみだった事だろう。
しかしそう言った手前、入らなければ格好が付かない。俺たちはそおっとつま先から湯に入っていった。
奥歯が折れる寸前まで、俺たちは歯を食いしばた。
猿の顔を見ると、顎の筋肉がうねっている。多分俺も似た様な物に違いない。
なんでこんなに意地を張らなければならないのだろうかという事など、足首まで湯につかった頃には、強烈に這い上がる熱さで消し飛んでいた。完全に思考停止状態である。もはや理由など関係ない。その時点から先は、ただ目的完遂だけが頭にある全てであった。
そうっと、そうっと、ようやく膝頭辺りまで来た時に、試しに少し足を上げてみた。湯につかった部分がくっきりと赤くなっていた。
すると、その時である。
枯れ木がいかにも気持ち良さそうに、唸り始めたのだ。
なんとか熱さから気を紛らわそうとした俺は、ついその歌声に聞き入ってしまった。
「親ぁ〜の〜血ぃ〜を〜ひ〜く〜、」
朦朧とした意識の中で思った。『ああ、兄弟仁義やな。昔のやくざ者らしいわ。』と。
「兄ぉ弟ぃ〜〜い、より〜も〜〜〜・・・ちゃちゃんちゃんちゃん。」
『自分で間奏入れとるで。』
「おち〜ち〜ぃ、ほし〜が〜るぅ〜、こ〜のぉ子が〜かぁわ〜いぃ〜〜〜」
いつの間にか、兄弟仁義が浪曲子守唄に成り代わっているのだ。
俺と猿は、お互いの顔を見合すと、同時に吹き出した。
枯れ木の方を見ると、何を笑っているのか分からない様子でこちらを睨んでいる。本人は全く気付いていない。
「あかん。もうあかんわ。おっちゃん、修行しなおして出直すわ。」
腰砕けになった俺達は、結局膝頭までの入浴で諦め、身体も洗わずにほうほうの体でその銭湯を逃げ出すように帰ってきた。
げに恐ろしきは老人パワー。
そして昼の銭湯は、老人パワー炸裂の、ミラクルワールドだった。
俺も、もう20年ほど修行をつんで、もう一度チャレンジしてみたい世界である。
そして、その時には若い者をやり込めて、美味いコーヒー牛乳が飲みたいものである。


後日、良く考えると、洗い場で身体を洗っていたミイラ達は、湯が冷めるのを待っていたに違いない。
「皆、この熱いの楽しみで来てるんだからよ。」の言葉に、すっかり騙されていたと気付いたのは、あれから相当経ってからである。

「銭湯」終わり。
削除キー   

23 まりかちゃ

2002/07/11 02:04

風呂屋って面白いですよねぇ。。。人間観察してると面白い場所。

だから、たいがい黙って入ってるんだけど…
たまには入口に座り込んで雀がとまったままで、他の人が変なところから入ってるのに気にもしてない若い女のこに、怒ったことがあります。
こそこそと去っていきましたが(笑)

聞き耳を立てているとまた面白い、おばちゃん同士の会話(笑)
でも、男湯と女湯って異世界ですよねぇ…

最近の銭湯はぬるいですよ(笑)…物足りない…

削除キー   

24 YOU

2002/07/11 20:46

枯れ木のじさま、ビューティフル。。

でも、枯れ木にミイラって くっくっ・・・ひどいわっ・・
ははは・・はは。
老人パワーに声援!がんばれ!(笑)

そんな熱いお風呂に入っても、貴殿は溶けてしまわなかった?
削除キー   

25 まりかちゃ

2002/07/15 02:25

溶けてしまったのかも知れないねぇ。。。
イメージ的には、「妖怪人間ベム」の冒頭シーンで(笑)
多分、わかるひとにしかわからないネタではあるが。。。
削除キー   

26 氷犬

2002/07/16 01:30

融けてたわ。(笑)
蒔いた種急遽刈り取りに、青森行ってたんやけど、青森言うてもさすが本州。北海道の夏とはちょっと違うな。
暑いのなんの。
ぐた〜っとトロけてしもてたわ。
20年も住んでると、すっかり身体は北海道仕様になっとる事、今気付いた。
やっぱりエアコン要らずの北海道はええで。
ついでに冬は冷凍庫要らずやし。(何でもベランダに出しとったら、春まで冷凍可!!)

さてと、落書きでも書いたろかな。
今日も、「激情」はお休みさせてもろて、今日体験したほやほやの話でも書かせてもらうわ。

落書きその4

「ひとひらの」

今日、俺は給油をする為、あるガソリンスタンドへ立ち寄った。
そのガソリンスタンドへ入るのは、初めてだった。
車を止めると、「いらっしゃいませーーー!!」と威勢のいい声と共に、従業員が俺の方のドアへと駆け寄って来る。
俺は給油口を開けると同時に運転席側の窓を開けると、「ハイオク満タン。」とだけ言い、カードを差し出した。
「ゴミ、吸殻は有りませんか?」
その従業員が愛想良く言う。
俺はダッシュボードに据えつけた灰皿を手に取った。
その灰皿は、車に備え付けの灰皿ではなかった。
車に備え付けの灰皿を使うと、灰を落とすのに視線を下に向けなければならないのが煩わしい。加えてそれを使うとどうしても周りが汚くなる。だから俺は備え付けの灰皿は使っていない。
別にダッシュボードに据え付けるタイプの灰皿を使っているのだ。
その灰皿は、取り外しがしやすい様に、ダッシュボードに接着している鉄板に、強力磁石で固定しているタイプのものだった。
俺はその従業員に灰皿を渡しながら言った。
「その灰皿、磁石付いてるからカードと一緒に持つなや。」
カード類は、磁石などの磁気に弱い。磁石に付けると、記録された磁気データが破損し、カードの役をなさなくなる。だから俺のその言葉は、当然の注意だったはずである。
しかし、その従業員は俺の言葉を理解していない様子だった。
右手にカード、左手に灰皿を持ちながら、「え?何でスか?」という様な表情をしているのだ。
「せやから、灰皿の裏に磁石付いとるから・・・」
従業員、きょとん。
「カードの磁気壊れるから・・・」
従業員、相変わらずきょとん。
「とにかく一緒に持つなちゅうこっちゃ!」
俺は痺れを切らして声を荒げてしまった。
するとその従業員は、怯えた様な表情をして両手に持った灰皿とカードを俺に見える様に差しだし、一言。
「あの、一緒に持ってしまってますけど・・・」


アホや。


久しぶりにアホを見た。
俺は押し寄せる虚脱感と戦いながら、辛うじて声を絞り出した。
「ええわ。もうええ。そのままでええから、早くガソリン入れてや。」
その従業員はそれを聞くなり、ホッとした様な表情を醸しだし「ハイオク満タ〜〜ン!!」と叫んで給油口の方へと駆け出したのだった。
それだけならいい。
それだけならいくら狭量な俺でも、まだ許せた。
しかし、有ろう事か、その従業員は俺の車の前を回りこむ際、そのカードを灰皿を持つ手に移動しやがったのだ。
つまり、「カードと灰皿を一緒に持った」のである。
俺は歯を食いしばりながら、独りごちた。「あのアホ!何さらす!!」
その言葉を聞いていた者が居たら、歯を食いしばりながらなので、「さらす」の部分は「するす」に聞こえただろう。
しかし、まだそれでも俺は堪えた。
灰皿と一緒に持っても、もしかしたらカードの磁気は壊れていない可能性も有る。使えれば支障は無いのだ。使えるのであれば、ここは我慢をしようではないか。
アホを前にして、俺はいつに無く寛大だった。ミラー越しに、しきりに首を捻るアホを見るまでは。
良く見ると、そのアホはカードを機械に通している最中だった。
何度となく通してみている。
そしてその都度、首を捻ってるのだ。
やりやがった。
俺はゆっくりとドアを開けると、車から降り、その男の背後へと近付いた。
「どないしたん。」
すると、その従業員はさも迷惑そうにいい放ったのである。
「お客さん、このカード、使えませんよ。」
瞬間、俺は左手でその従業員の帽子を跳ね飛ばし、髪の毛を鷲掴みにしようとした。しかし有ろう事か、その頭は禿げていた。俺の手にはぬるっとしたその頭皮の感触だけが残った。
仕方無しに、その手で従業員の胸倉を掴む。掴みながら、俺は頭の片隅で思った。「手に付いた頭の油、この服で拭いたろ。」
そして男の顔を引き寄せる。
「おのれが使えなくしたのが、分からんのか!!」
従業員はおどおどとした視線を、彷徨わせるばかり。それを見た俺は、アホに言っても仕方無いと思い、「店長呼ばんかい!!」と鼻先に怒鳴りつけた。
すると、アホが一言。
「店長は、ボクです。」
視界が赤く染まった。
「なら、社長呼べ社長!!」

社長は結局来なかったが、代わりに営業部長とかいう肩書きの名刺を持った中年禿げが来る事となる。
俺は入れたガソリン代を現金できっちり払い、カードを元に戻せと言ったが、その禿げは「今日の今日と言うのは、ご容赦して下さい。」と、変な日本語を使う。
しかし、「今日あたりキャンプファイアーやらかしたろか!何処でとは言わんけどよ!!」と言ったのが効いたのか、今日の夕方持って来た。
それと一緒に、お詫びと称して封筒を置いていった。いらないと言うのも効かず、事務所のカウンターに置いて逃げるようにして帰って行ったのだ。
中には何が入っていたのかは知らない。
俺は事務所の窓からその男に向かってその封筒を投げてやった。
封筒はピラピラと風に舞っていた。
ピラピラ、ピラピラ。
何を持って来たのかは知らないが、アホ従業員にアホ上司。
その薄さが、封筒に象徴されていた。

そんな事に腹を立てる、俺も結構ピラピラ、ピラピラ。

アホがアホに腹を立てる一幕では、あった。


「ひとひらの」終わり。
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27 まりかちゃ

2002/07/16 13:48

カードと灰皿は別々に渡しましょう。。。(笑)

カード便利ですよねぇ。。。
前に銀行でお金を下ろそうとした時。。。通帳の裏に張ってある磁気テープがなぜかダメになってて。。。知らずに3回繰り返した。。。。
窓口に持っていったら。。。今3回しましたよねぇって。。。
わかってるなら、もっと早く出てきて言ってよって。(怒)
切れそうだったわ〜(笑)吐き出される通帳もつらいです(笑)
私の通帳なのに・・・

それから、懲りたので一回吐き出されてると窓口に行ってこれ吐き出す〜と文句を言います。。。
帰ってくる答えは、
「機械を変えてやってみてください」
であります。
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28 YOU

2002/07/16 20:40

やっぱり迫力ある・・。
やっぱり氷犬さん、見てみたい。
こわいから、会いたいとはよういわんけど・・。

昨日、電車の切符買おうと券売機の前に行ったら
私の前のおじさま、使用済みのカードBOXから、
ひょいと一枚抜いて、券売機にいれてる。
もちろん、切符なんか出てこないよ。
「おかしいなあ・・」
あの、後ろで順番まってるんですけど・・

きれそうになりながら・・「あのう・・残ゼロに
なってますから出ませんよ(!)」
と、画面を指差しながら、教えてあげたけど、まだ
諦めきれないようだった・・。
なかなかの根性やと感心してしまった。


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29 nicopapa

2002/07/17 15:13

カードで思い出しましたが...

私の友人は一緒に飲んだ時に酔って潰れてしまいました。タクシーに乗せたまでは良かったのですが、その中で戻したらしく無理矢理降ろされ、仕方なく某繁華街の駅の階段に座り、眠り込んだところに現れた強盗に銀行のカードと現金を盗まれてしまいました。現金は全額財布から抜き取って、うち千円だけどういう訳かポケットに捻じ込んであったそうです。一銭 も持たさないと被害者は何の術も無くそのまま交番に駆け込んでしまうものの、家に帰るに充分な金を残しておくと、人間いったんは家に帰りたがり、カードの引き落としなどの犯行の時間を稼げるからではないのかと、その友人は分析していました。

現金の被害は大した物ではなかったそうです。が、カードの暗証番号を、財布に一緒に入っていた運転免許証から明らかな自分の誕生日にしてあった為に、残額全額の上、クレジットの上限まで引き出されて総額150万円の被害になってしまいました。幸い保険が効いて相当な部分が補償されたそうですが、それまでの格闘には大変なものがあり、酔いつぶれるまで飲む事の愚かさを相当に学んだそうです。自分の電話番号や誕生日などを暗証番号にしていると、もしもの時に保険が効かない時があるそうですから、皆様もご注意下さい。
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30 氷犬

2002/07/22 00:21

まりかちゃさん、
>「機械を変えてやってみてください」

こういう時の店員の眼差しは、えてして「ちゃんとやってるんか?使い方、わかるんか?」てな事が多い。腹たつよな。
そう言うときは、ぐっと静かに「もう一度やってみて、あかんかったら、どないする?どう責任取ってくれる?」て相手の目をじっと見据えると、大概やってくれるで。
まりかちゃさんなら、多分大丈夫やと思うわ。(笑)

YOUさん、
>見てみたい。

それほどまでに言うんなら、写真位なら送らせてもろてもええで。
メールくれれば。
読者サービスになるんか、脅迫になるんかは定かや無いけど。(笑)

nicopapaさん、
カードの被害、気ぃ付けんとな。
飲みに行った先で、一見の店ではカードは切らん方がええで。今時簡単にコピー取れるし。
で、一度コピー取っても、コピー場所がすぐには分からん様に暫く寝かすんやと。
そして数ヶ月後にドンと落とされる。
やられた時には、もう何処でコピー取られたか分からん様になっとるて寸法や。
けどそれやったら、やられた事自体はすぐに分かるから、カード会社に言えば保険適応してくれる可能性が高いんで、まだ良心的や。
性質悪いやつは、数ヶ月に一度、ごく小額をじわり、じわりと使うんや。
これやと、こまめに明細確認しとらんと、なかなか分からん。
使うてる奴は、手間は掛かるけど、そんなカードようけ持っとるから、一枚でドンと使うのと同じ位に稼げる訳や。
気付いたらようけやられてて、保険も利かず・・・てな事にならんように、明細は毎月確認・・・・・面倒くさいからなかなか出来んわな。けどそれが狙い目や。気ぃつけんと。


さて、お久しぶりの落書き「激情」、書かしてもらうで。
と書こうとしたけど、なかなか筆が進まん。
佳境なんやけど、書いては消し、書いては消しの繰り返し。
そんなわけで今日は(「今日も」か。)落書きはお休み。
数日中には書こうと思う。

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31 YOU

2002/07/22 20:40

氷犬さん 書いては消し・・してるんですね。
なんか、妙に納得してしまった。

>読者サービスになるんか、脅迫になるんかは定かや無いけど。

もしかして、顔が脅迫なんでしょうか?おずおず・・
一週間ほど考えようかなあ・・。(笑)

しかし和美さんの顛末、早く知りたくはある・・。
 <あとがきはないっすか?><ネタバレの>

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32 氷犬

2002/07/24 00:05

YOUさん、
>書いては消し・・してるんですね。

「ちょっとボク、スランプなの。」て、ベレー帽をはすにかぶってパイプをくゆらす、わしを想像してください。(爆)

ネタばれの後書きかあ・・・・ほとんど落書き自体が、わし自体のネタばれっぽい気がするけどな。(笑)
けど、後書きなぁ。・・・考えとく。
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33 nicopapa

2002/07/30 19:12

そろそろ一週間穴が空いていますが、まさか「また...」なんてことではない事を祈ります。
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34 YOU

2002/07/30 20:04

ま、まさかね。
早く写真、もらわねば・・。
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35 氷犬

2002/07/30 23:07

あ!
明日で一週間か!
ちょっと最近仕事過密状態で、昼間は覗く事位で書き込む事はままならず、夜は夜で家や飲み屋でついついマッタリとしとったんや。
いやはや失礼。変な心配かけてしもたわ。(笑)

落書き、明日には書こうと思います。
(今日は既にメーター振り切り状態やから、勘弁してちょ!)
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36 YOU

2002/07/31 07:41

とりあえず、無事でよかった。
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37 まりかちゃ

2002/07/31 10:17

誰しも思うところは同じ?!(笑)
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38 氷犬

2002/08/01 14:32

やらかしてしもた・・・・
昨日書こうと思うとったんやけど、ほんまに思うとったんやけど、つい寝てしもて書けんかったわ。
書こうと思うてPCの電源入れたんやけど、立ち上げの間ちょっとソファーに横になったのが間違いやった。
そのまま朝までぐっすりと・・・・情けない。
PCて、昔のテレビと違うて砂嵐に目え覚まさせられる事てないからなあ。起こしてくれるどころか、「静かにお休み。」とばかりに、モニターの電源までご丁寧に落としてくれるし。
今晩こそは書こ〜っと。(飲まずに帰してくれるやろか・・・?)
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39 nicopapa

2002/08/01 15:14

夏バテ、お疲れなんですね。

疲労時には免疫力が下がっていますから、無理をして疲労が更に溜まるようだと、普段なら気にも留めない思わぬ菌に感染して何もかも台無しにしかねません。お互い、身体あっての物だね、身体あっての掲示板です。お疲れの時は無理をせず、身体の欲求のままお休み下さい。
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40 氷犬

2002/08/02 01:22

ただぐうたらしとったわしに、皆さん色々とお気遣いありがとう。
とりあえず今の所は、捕まりもしてへんし、調子崩してる訳でも無いんで、ご心配には及ばんで。

さあ、それでは久しぶりの落書きでもやらかすとしますか。


落書きその5

「激情」15

釧路に着いたのは、夕方だった。
俺達は予約してあったホテルにチェックインすると、食事をしに繁華街へと歩いていった。
その日、昼間は晴れていた釧路であったが、夕方から霧が出て来ていた。
俺達が繁華街へと歩く頃には、霧は益々濃く、重苦しく垂れこめていたのだった。

「何が食いたい?」
「う〜ん、釧路へ来たからには、やっぱり魚でしょ。」
「なら、どこか小料理店でも探そか。」
「ううん。どこか気取らない居酒屋がいい。」
そして数分後、俺たちは居酒屋のカウンターに居たのだった。

和美は、いつに無く甲斐甲斐しく俺の世話をした。
俺の好みそうな酒と料理を注文し、酌をし、割り箸を割って寄越し、カウンター越しに出された料理を自ら手を差し伸べて取り、俺の前へと置いた。
グイ呑みで小さく乾杯をしたとき、俺は最初の考えを変えた。
旅行はわずか4日間。
初日は移動日。
二日目には二人でゴルフ。三日めは釧路市内の観光。四日目に道東方面を回って帰札という予定。その最後の四日目に、帰りの車内で別れ話を切り出そうとしていたのだ。
しかし、霧に煙る釧路の重苦しい雰囲気と、和美の甲斐甲斐しさが、俺を揺り動かした。
このまま四日間を過ごすのは、何かだまし撃ちの様に思えたのだ。

「実はな、話が有るんや。」
俺が切り出すと、和美は手に持ったグイ呑みを置いた。
そして無理に笑顔を作ると、俺に向き直った。
「そうだと思った。何か話しづらい事が有るんだろうなって。だって急に旅行だなんて、変に思うよ普通。案の定だったって訳ね。」
俺は黙って和美をみつめた。
「別れ話なんでしょ。」
シガリロに火を付けながら、俺は言葉を捜した。
「女でも出来た?」
俺は小さく首を振り、視線を右手のダンヒルに落とす。
「あたしに、もう飽きた?」
溜息混じりに、煙を吐く。そして口を開こうとした瞬間、俺の言葉を遮る様に和美は言った。
「別れないから。」
俺は視線を和美にもどした。
和美は自分のタバコを取り出すと、それに火をつける。指の間で小刻みに震えるパーラメントが、俺の視線を捕らえる。
「どんな事が有ったって、別れないから。」
パーラメントの震えと重なるような、かすかなビブラートがその言葉にはあった。
それは動揺の為なのか、或いは強固な意志のなせる業なのか、その瞬間俺には判断がつかなかった。
しかし、どちらにしろこの関係は断ち切る事に決めたのだ。下手に情に流されれば、傷口は広がるばかりだ。
「前の男にも、そう言うたんか。」
俺は冷徹を装い、そう言った。
言った途端、和美の顔色が白く変わった。
「どう言う意味?」
「お前、切れてへんのやろ、前の男と。」
「切れてるわよ!」
間髪入れずに和美は言った。
俺は深い溜息と共に続ける。
「切れてへんのやったら、最初から言うたれや。最初から言うてたら、それはそれで別の道も有ったやろ。けど、こうも面と向かって嘘つかれたら、お互いの信頼関係ちゅうもんは、もう無いのと一緒や。もう続けていかれへんわ。残念やけど。」
俺は抑揚を欠いた口調で淡々と言った。
しかし尚も和美は食い下がる。
「証拠でもあるの!?何で嘘と決め付けるのよ!」
「見たんや。」
「何を!?」
「日記や。」
和美は息を飲む。
「お前が手帳に付けてる日記みたいなもんや。そこに書いとるやろ。前の男と逢うた日にちやなんかが。」
嘘であった。
俺が一方的に別れたい、もう終わりだと言い募った所で、和美は納得しないだろう。
俺の見たしるしの事を言っても、それは男との事実関係を追及する証拠にしかならない。
和美に別れを納得させる材料としては少し効果に欠けるのだ。
別れを相手に納得させる一番確実な方法、それは相手に嫌われる事である。
その為に、俺は和美が手帳につけている日記を利用した。
和美が手帳に日記らしきものをつけている事は知っていた。そして多分その日記には、男と逢った事が書かれていただろう。
まさかそれを本当に覗き見る事などする訳は無い。
だが多分、それを除き見る下衆な男を演じれば、確実に和美には嫌われるだろうと俺は思ったのだ。
そしてその効果は予想を上回るものだった。
見る間に和美の表情が険しいものに変わっていった。
「本当に見たの?」
俺は無言で頷いた。
「さいってい。」
そう言うと、和美は手に持ったパーラメントを俺の左手の甲へ押し付けた。まるで俺の手の甲が灰皿ででもあるかのように、和美はそこでタバコの火を消した。
そしてふいに立ち上がると、一人で店を出て行ってしまったのだった。

俺はその店の勘定を済ませ、和美の後を追うでもなく、ぶらりとその店を出た。
店を出ると、向かいの歩道に和美らしき姿が見える。しかしその姿は、先ほどからの濃霧でシルエットしか分からない。が、どうやらこちらを向いて立っている様だった。
俺はその影に近付く。
ぼんやりとほの白い街頭に透かして見ると、その影はやはり和美だった。
俺はその和美の顔を見て、一瞬背筋に冷たいものが走った様な気がした。笑っているのである。それも、目だけは険しく、口元だけで。
その時俺は、和美を見ながら頭の片隅で思っていた。般若の面を美しくすると、きっとこんな感じになるんだろうなと。

落書きその6以降へ続く。

振り返って見ると、この「激情」も5月の上旬から書いてるわけで、それからもう3月も経ってしもたわ。いい加減終わらせな、と思いつつ、「続く」てどゆこっちゃ!(笑)
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41 いろは

2002/08/02 02:03

こわぁ〜!口元だけの笑い。
煙草を押し付けられた所、痕になりませんでしたか?
続くってことは、まだ展開があるのね。わくわく。
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42 nicopapa

2002/08/02 09:56

15まででたばこが手の甲を焦がすに至る過程が分かり、お話が冒頭のシーンに戻った訳ですね。これからがクライマックスですね。
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43 YOU

2002/08/02 21:18

も、もしかして氷犬さん この時、殺されてしまってて
今は、亡霊が書いてる・・という・・シックスセンスもどき
の実話じゃあ・・ないよね。
ないよね!。。。

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44 まりかちゃ

2002/08/02 21:33

こえぇーよ。この女。読めないからなぁ。。。
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45 氷犬

2002/08/02 22:37

いろはさん、
残ったで〜。見事に痕残った。
今でも左手の甲には、その時の痕が有るわ。
可哀相なのはわしの左手。
小指ちょん切られるは、甲は灰皿代わりやわ・・・・。
散々やな。(笑)

nicopapaさん、
これからがクライマックスなんか、尻すぼみなんかは分からんが、もう少しで終わると思う。あと2回位やろ。多分。

YOUさん、
そう。実はこれを書いてるのは、イタコのおばさん。
氷犬=主婦説復活や。(笑)

まりかちゃさん、
>この女。読めない

おう。わしも読めんかったわ。ほんまそこまでは読めんかった。
何がて?
それは読んでのお楽しみ♪
(なんやあざとい番宣並やな。(笑))

で、ここで落書きに行けばええのやろけど、今は書く気力が無い。
今さっき飲んで帰ってきて、冷酒「一の蔵」が効きまくっとる訳よ。
もう少し時間が経って、復活したら書くかもしれへんけど・・・・明日の朝5時起きでゴルフやし、どうなるかわからん。
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46 まりかちゃ

2002/08/05 20:36

夏バテじゃないですよね?私の前で言わせませんよ(笑)
書きづらいのは、なんとなくわかる気がします。

あと2回ですね?楽しみにしてますので、ごゆっくりと練ってください。
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47 氷犬

2002/08/06 01:00

後2回で終わるかなあ・・・上手く(分かり安い様に)まとめられるか、書いてて自信無くなってきた。
けどまあ、書かな終わらんわな。
書くとしよか。

落書きその6

「激情」16

霧の向こうで、和美は静かに言った。
「嘘でしょ。」
「主語が分からん。何が嘘なんや。」
俺は和美に向かって歩きだした。
次の瞬間、和美は突然叫びだした。
「ウソツキィィィィィィィィィィ!!!嘘つき嘘つき嘘つきぃぃぃ!!」
驚いた俺はすぐさま和美に駆け寄ると、その口を手で塞いだ。
いくら霧に咽ぶ釧路の夜でも、ここは繁華街である。人通りが無いわけではない。物見高い野次馬の好奇の目に晒されるのは、いくら旅先といっても御免である。
俺は和美の口を塞いだまま、引きずるように繁華街の外れまで連れていった。
その間も和美は、俺の手の下でもごもごと「嘘つき」を連呼していた。
「ええ加減にせえ!!」
俺は和美を暗がりに突き放すように解放した。
暗がりに立ち尽くす和美の表情は、俺からは見えない。ただ荒い息遣いだけが聞こえるだけだった。
「何がうそや・・・」
「嘘ついてまで私と別れたいんだ!そうなんだ!そう言う事なんだ!!」
俺の言葉に被せて、和美はまくしたてた。
俺は大きく深呼吸をし、少し長めの間をとった。そしてゆっくりと口を開く。
「ああ、そうや。そういう事や。」
それ以上、俺は何も言わなかった。
ほんの少しの沈黙の後、和美はしゃくりあげ始めた。
俺は和美を、その嗚咽と共にそっと抱き寄せたのだった。

幣舞橋の辺りまでたどり着いた頃には、和美はすっかり落ち着きを取り戻していた。
「すっかり化粧、はげちゃったな。ま、どうせ別れる男なんだから、見られたってどうって事ないか。」
橋の上の街灯の明かりに、まぶしそうに手をかざすとそう言った。
俺は欄干に身体をもたれ、シガリロを取り出した。
「なあ。聞いてええか?」
シガリロに火を付ける間、和美は黙って俺の次の言葉を待っていた。
「何で嘘や言う事分かったんや。」
俺が和美の手帳を見たという嘘がばれているのは、もはや明白であった。俺は単純に、その訳が知りたかった。
聞かなければ良かったと後悔する事など、その時は知る由もなく。


落書きその7以降へ続く。
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48 YOU

2002/08/06 20:06

和美幻想がふくらんできますよー!
風船のようにパーンと割れるのか、
あるいは
>ほんまそこまでは読めんかった・・と氷犬さんに言わしめた
のはなんだろう??


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49 プレッシャー

2002/08/12 14:11

最後の「落書き」が6日の午前1時。明日未明の午前1時で1週間のブランク...あと11時間弱...(ぼそぼそ)
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50 氷犬

2002/08/12 14:53

あはははは!!
書き込もうと思うたら、プレッシャー掛けられてもうたわ。
いやいや、大変失礼。
すっかり週間負け犬の遠吠えに成り下がってしもた。
その間も書き込みせんで、わしならではのご心配もおかけしました。(笑)
今日の夜から、今週いっぱい墓参りツアーに出掛けますんで、ますます間おくけど、今回「激情」完結させますんで、許してちょ〜だい。
それでは、行かせてもらいます。

落書きその7

「激情」17

目を伏せてしばらく考え込んでいた和美が、何かを決心した様に不意に目を上げた。
「どうしても聞きたいの?」
俺は和美のその言葉の真意を測りかねた。
単に言いたくないというだけではなく、俺の好奇心を咎める様な響きが混じっている。
「聞くと俺が後悔でもする様な言い方やの。」
「後悔するかどうかは分からないけど、いやな思いする事は間違いない。」
その言葉を聞いて、俺は誤解をした。和美が言う嫌な思いとは、男と切れていない確証を突きつけられる事なのだろうと。もしそうであれば、どうという事はない。俺は既に、和美が男と切れていない事は疑い様のない事として認識しているのだ。
「もう十分嫌な思いしとるで。」
「もっと嫌な思い、するかもよ。」
そう言ってにやりと笑った顔を見て、俺は自分の誤解に気づき始めた。どうやら、和美の言っている嫌な事とは、男と切れている切れていないという事以外の事なのだ。
「なんや奥歯に物の挟まった様な言い方せんと、はよ言えや。」
「いいのね?」
くどく念を押す和美に、俺は沈黙で答えた。
「分かった。なら教えてあげる。」
そう言って和美は一呼吸間を置いた。
「あなた、前の男を『男』としか言わなかったじゃない。」
「ああ。」
「だから分かったのよ。手帳を読んで無いんだってね。」
「どういうこっちゃ。」
「そこまで聞いても、まだ想像付かないの?案外鈍いわね。」
はすっぱなその物言いに、俺の神経は逆撫でされた。しかし俺は何も言わなかった。朧げながら和美の言葉が意味する事は分かっていたが、分からない振りをしていたのだ。
俺は無言で和美の次の言葉を待った。
「知ってる人の名前が書かれてあったら、『男』とは言わないんじゃない?」
もしやと思った事がやはり当たっている。
「誰や?」
夜空に向けて大きくため息をついた和美は、何かを吹っ切った様に言い放った。
「こうなったら、何もかも洗いざらい言っちゃって、すっきりしちゃおうっと。」
そして俺に向き直る。
「男ってね、Rなんだ。」
「何?」
俺は自分の耳を疑った。
Rと言えば、俺の取引先の不動産屋であり、最初に和美の勤める店へ連れて行った男である。その時は、常連として新人の和美を紹介されていた男なのだ。
「わしと知り合った時期は、大差ないはずやろ。」
「あれは演技。だって私があそこに勤めたのは、Rの指示だったんだから。」
俺はまだ全てを理解しかねていた。
「ふふ・・・・びっくりしたでしょ。」
「ああ、驚いたわ。けど、まだ嫌な思いはしてへんで。」
「これからさせてあげる。」
そう言って、和美は語り始めたのだった。

和美はRの指示で、あの店に勤め始めた。その目的は、俺である。
Rがその店へ数日後に連れて行く俺に、取り入るのが目的だったのだ。
和美を俺に取り入らせ、現在進行している大物物件の情報を引き出す。それがRの手口だった。
最初に出会った次の日、和美が顔を腫らしたのは、昼間俺と約束を取り付けた事を知らないRが、前日積極的に俺に取り入ろうとしなかった和美へ腹を立てて殴った事による。
そして先日、再び顔を腫らしたのは、なかなか俺から情報を引き出さない和美に苛立っての事だと言う。
それもそのはず、和美は本来の目的である俺から情報を引き出す事など、一切しなかったのだ。
それどころか、仕事の話など和美の方から避けていた様に俺には思われた。
それはなぜなのか、俺にはいまだに分からない。

「スパイなんだよ、私。どう?嫌な思いしたでしょ?」
少しおどけた表情の和美は、俺に向かってそう言った。
「ああ、そこそこな。けど、ネタばらしするちゅうのも、間抜けなスパイやで。」
「そもそも人選が間違っていたのかもね。」
「いや、人選は間違うてなかったで。おかげですっかり騙されたわ。」
「騙してたのかな・・・やっぱり。」
そうつぶやいて、和美はまた繁華街の方へと歩き出した。
「何処行くんや?」
振り向きながら和美は言う。
「これ以上一緒にはいられないよ。ここでバイバイ。」
「ここでって、お前・・・」
「札幌へは明日にでも、列車で帰るから。それじゃあ。」
そして再び繁華街の方へ歩き出した。
俺はそれ以上和美を引き止めなかった。
霧にかき消されかけている和美に向かって、俺は最後に聞いた。
「なんでわしから情報引き出そうとせんかったんや。」
答えは霧の向こうからは帰ってこなかった。
無言のまま、和美は釧路の霧に消えていったのだった。


それ以来、俺は和美と会わなかった。
出会わなかったと言ってもいいかもしれない。
しかしこの春、俺は和美を見かける事となる。
仕事上の義理で参列した葬儀。Rの葬儀である。
俺はあの後、Rとの取引を一切絶った。汚い手口はあの世界では当然の事ではあったが、俺はRのやり口を見過ごす事が出来なかったのだ。
そして数年後。俺は、ある大手不動産からの紹介でRと再度知り合う事となる。
間接的な関係なので、取引をする必要も旧交を懐かしむ必要も無かった。
そのRがこの春、急逝したのだ。
取引先の手前、葬儀を無視する事も憚られ、俺は仕方無しに参列した。
あるいはとも思ったが、その参列者の中に和美の姿を見かけた時にはさすがに驚いた。
あれから数年、まだRと関係を持ちつづけていたのだ。
そして俺は、さらに驚かされた。
それは葬儀の最後に一人ずつ献花が行われた時だった。
和美が祭壇の前に花を持って立った時、突然その花を遺影に投げつけたのだ。
そして大声を出してその場に泣き崩れる。
よく聞き取れない事を泣き叫び、周囲に困惑と苦笑と、ひそひそ話をもたらした。
その叫び声は、葬儀屋によって外へと連れ出された後も、ドアの隙間から葬儀場に轟いていた。
激しい感情をもてあました和美のその声は、それからしばらく俺の耳に付いて離れなかった。
そしてその激しい感情は、俺のほこりの被った古い思い出を掘り起こすのに十分な激しさと、有り余るせつなさを併せ持っていたのだった。

「激情」おわり。
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51 YOU

2002/08/12 19:43

周りのプレッシャーに逆らっての(笑)
堂々の完結を祝します!

お盆のさなかの墓参ツァーとか・・
無事この世に戻ってきてください!

やっと和美さんの?が解けました。
そういうことだったんですねえ。
氷犬さんが寝首をかかれてなくて
よかったです。いたこさんじゃなくて(笑)

ところで、北海道はとても寒いそうですねえ!
ニュースを見ててびっくり。14度っていっ
てたわ。

氷犬さんの氷化が心配です・・。
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52 まりかちゃ

2002/08/13 14:15

うーん、不可解さは、別の男のほうが好きだったからか。。。(納得)
別の意味では一途なのかもしれませんね。
こういう女にはなれないけど。。。

恒例のお墓参りツアーですね。
お気をつけていってらっしゃいませ。
無事戻ってくるのを待ってまーす。(笑)
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53 氷犬

2002/08/17 23:48

墓参りツアー、無事終了!
今日帰って来た。疲れた〜〜!
疲れを癒す為に、ちょいと一杯、ひっかけとる。(ええな〜キーボードは。ロレツ回らん事無いから。(笑))

YOUさん、
書いとるのは、イタコのトメさんやちゅうとろうに。(笑)
チャットの方で、以前独り言でぶつぶつと書いたんやけど、やっほ〜で「氷犬」で検索してみると、氷犬てHN使うてる人が他にも居るようや。文面見ると、どうやら主婦の様。
イタコのトメさんやで。きっと。(なんや書いてて訳分からんくなって来た。)

まりかちゃさん、
>別の男のほうが好きだったからか。。。(納得)

そ・・・そうやったんか!!Rの方が好きやったんかあああぁぁぁ!!!


・・・・今気付いたわ。ショック。

(以下、そのショックを受けて書いた文章やから、ちょっと余計な事も書いてしもてる。まあ、後書きとでもしといてや。)

そうやな。Rの方が好きやなかったら、あっさり別れる訳ないわな。(落書きではああ書いたけど、結構あっさりでもなかった。(笑))
けどなあ、わしとしては、仕事の情報引き出さんかった事で、多少なりともわしに分が有ったと思うてたんやけどなあ。それに、最後にわしに全てを打ち明けた事もあるし・・・。けど、自惚れてたかもしれんわ。情報引き出さんかったんは、多少の反抗心の現れやったのかもしれへんし、最後にわしに打ち明けたんは、よう考えるとRへの復讐なんかもしれへんな。そうする事で、わしは商売上Rを切る事は自明や。つまりRにとっては商売上の窮地や。他の男へ身体を張って差し向けられた女の、復讐心なんやろ。
そんな所なんかも、なんとはなしに分かっとったけど、つい煮詰めきれず、書ききれへんかったわ。言い訳やけど、墓参りツアー前に終わらせてしまおうと思うて、ばたばたと書いてしもて、細かな描写や掘り下げた思いも書ききれへんかった。長々と書いてた締めくくりにしては、書き込み不足やな。反省。(はしょって終わらせたのが、読んだら分かるやろ。あかんな。あんなんは。(笑))

実はな、この和美て女、わしの結構大きな傷になっとるんよ。
裏切られた事やないで。そんな事は屁でもないわ。けり付けて終わっとる。
何が傷かちゅうと、ええ女過ぎたちゅう事や。
見た目、物腰、性格・・・・全てに於いて、ええ女過ぎたんや。
(性格面では、ちょっと難有りやけど、そこの所は差し引いてもや。)
上手く書ききれてへんから伝わらんやろけど、・・・いや、そんな思い入れを極力伝えん様にしたつもりやから、伝わってへんやろけど、わしにとっては最高の女やった。
奴の事は忘れる事は造作もない。忘れられんで悶々としとる訳やない。けどな。その後に付き合う女が、見劣りしてしまうんよ。勿論比べるような下衆な真似はせえへんで。けど、自分の中で有る一定の価値基準が出来上がってしまった様なんや。それ以来、相当の女でも、心ときめくていう事がのうなった。それなりに付き合う事は出来ても、どこか覚めた自分が居るんよ。これはやっぱり、傷やろなて思うわ。

なんや人生相談の様相を呈して来たんで、この話はこの辺で。

最後に、後書きとして書こうと思うてた事がひとつ。
実は、「書いては消し」してた際、最後の話あたりに出て来る話で、カットしたエピソードが有るんよ。(ほんまは、殆ど最後まで書いて、一気に消して全部書き直したんや。)
最後に幣舞橋辺りに歩いてきた辺りでの事。
わし、川へ向かって立小便したんよ。するとな、小便終わった直後、和美が不意にわしのそばに膝まづいて、わしの腰を両手で抱えて、わし自身をその口で咥えたんや。まだ雫が滴ってる状態で。
そして口を動かした。
わしの下半身も、まだ今と違うて節操ないわ。つい硬直してしもた。
すると、和美は歯を立てた。立てただけならまだええわ。噛み千切ろうと顎に力を込めたんや。
そして途中で歯を止め、上目遣いにわしを見る。
「別れるんやったら、噛み千切るてか。」
言うと和美は目で頷く。
わしは言った。
「ええで。お前で使わんのやったら、もう用済みや。それですっきり別れられるのやったら、噛み切ってもええ。」
それを聞くと、和美は口を離した。そして立ち上がると、
「すっかり化粧、はげちゃったな。ま、どうせ別れる男なんだから、見られたってどうって事ないか。」
橋の上の街灯の明かりに、まぶしそうに手をかざすとそう言うたんや。

感情の激しい女やったわ。

ちょっと裏話的後書き、こんなんでどやろ?(笑)
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54 nicopapa

2002/08/18 08:44

> 相当の女でも、心ときめくていう事がのうなった

これには年齢的なものや、これまでの女性経験、今どれだけモテるかなどなども影響していると思います。

女性経験が豊富で、いかようにも女性とお近づきになれる魅力を備え、これまた経験を基に洞察力を磨いてきた中年男性であれば、「相当な女でも、心ときめかない」のも自明かもしれません。

いいなあ...(笑)
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55 まりかちゃ

2002/08/18 14:07

たぶん、和美って女の人も氷犬さんの惹かれてたんだと思うよ。
Rって人とは違うところで。
でも結局Rって人のところへ帰っていったのは、彼女の一途さではないかなぁ・・・そんな気がする。

きっと、Rより先に氷犬さんに出会っていたら氷犬さんの彼女になった人だろうと思うな。
氷犬さんが惹かれるのはそういうところなんじゃない?(笑)
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56 YOU

2002/08/18 20:21

おかえりなされませ(平伏=)

>ええな〜キーボードは。ロレツ回らん事無いから。(笑)
そやけど、指が震えてきたらやばいよ(笑)

氷犬さんはやっぱり和美さんが好きやったんや・・ね。
けど女にも意地があるから・・。どうしょうもなかったん
やと思う。
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57 氷犬

2002/08/19 00:46

nicopapaさん、
>いいなあ...

ちょっともええ事あらへん。
まして、「女性経験が・・・・自明かもしれません。」は、全部はずれとるし。(笑)
(特に、「中年」て所が引っかかる!・・・・・・・諦め悪い?(笑))

心底のめり込めん、覚めた自分が居るて、結構つらいもんや。

まりかちゃさん、
>Rって人のところへ帰っていったのは、彼女の一途さ

摩訶不思議やな、女て。
おのれの体を他人に提供してまで自分に尽くせと強要する男が、なぜそれ程ええんやろ。
まして、あないなちんちくりんなオヤジが。
(わしの方がよっぽど・・・・・てのは愚痴やな。(笑))

YOUさん、
>けど女にも意地があるから・・

意地かあ。そやな。それがあるからこそ、女一匹、男ちゅう荒波掻き分け、生きて行けるんやろ。
わしかて、あないな事(お互いの信頼関係云々な。)言うとったけど、Rとの事知らされるまではもしかしたら「男の意地」ちゅう余計なもんで動いとったのかもしれへんわ。
余計やけど、必要。
厄介なもんやな、意地て。

実は、昨日(正確に言うと、18日の未明やな。)飲みに行った帰りのタクシーから、久しぶりに和美(仮名や(笑))に電話かけたんや。
ここの書き込みして、なんや懐かしくなったんやな、わしも。
元気にしとったわ。
元気すぎるくらいやった。
「どや?明日、久しぶりに飯でも食わんか?」
てわしが言うたら、
「ごめん。明日、野球の応援で、その後打ち上げなんだ。」やと。
今は昼の仕事についてて、その職場の野球チームの応援やちゅう事や。
「まさか、33(歳)にもなって、チアリーダーの真似するんやないやろな。」てわしが言うと、
「悪い?」やと。
ほんまかどうかは分からんけどな。

「また何時か。」てな約束とも断りともとれる会話で締めくくった電話やったわ。

多分もうわしからは掛けへんやろ。
未練たらたらみたいにしたない、余計な男の意地なんやろ。
けど、それって、必要やで。
多分、nicopapaさんなら分かってもらえるんやないかな。
(中年仲間として。(笑))



なんや、昨日今日と、じめっとした話題やった。堪忍な!!(笑)
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58 かなめ

2002/08/19 09:36

お帰りなさいまし。

和美さんのRさんに対する感情の半分は、執着だったんじゃないかと思います。
それまでどんな酷い事されても耐えてて、好きだったのに、氷犬兄貴に出会ってあっさり惹かれてしまって、「今までの感情は嘘だったの?」って思ったんじゃないかな。

和美さんの気持ち、解る気します。
本気で噛み切りたいと思ったんだろうな。
本気で首を絞めようと思ったことのある私はそう思います・・・(爆)
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59 中年仲間

2002/08/19 12:34

別れた女性に電話連絡をした事は私もあります。いまさら「どうのこうのしたい」と言うのではなく、単に懐かしさとノスタルジーのなせる業だと思います。しかし、先方がやはり妙に懐かしがって「会いたい」とでも言うのでもなければ、二度は掛けないですね。私の場合は掛けた全員と(何人だ?...笑)「約束とも断りともとれる会話」で締めくくり、二度目を掛ける事はありませんでした。やはり「未練がましくしたくない男の意地」なんでしょうね。

女性の場合、気が離れてしまうと後はさっぱりしたものですよね(苦笑)。「あいつ、今頃何してるんだろうなあ」なんて思い出すのは男性だけなのかも。
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60 氷犬

2002/08/19 12:43

執着かあ。なるほど。
わしとすれば、そう思いたい所やな。特にわしに「あっさり惹かれてしまって」ちゅう所が特に。(笑)
けどどうなんやろ。ほんまの所は本人以外、分からんわ。
そう思うて自惚れてもみたいけど、「そやないやろ」て、やせ我慢ぎみに思うてた方が、わしの性に合うとる気がする。

ところでかなめちゃん、
本気で噛み切ったり、絞めたりしたらあかんで。(笑)
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61 氷犬

2002/08/19 12:50

あ!中年仲間さんにかぶってしもた。

さすが中年仲間!(笑)
思いは共通するんやね。
大いにうなづけるんが、
>思い出すのは男性だけなのかも。
て所や。
女性から言わすと、女性かて思い出す、てなるやろけど、やっぱり比較的女性のほうがあっさりしとる気がする。
それがしゃくやから、男の方も、やせ我慢しとるわけやな。
まあ、それでバランスが取れてるのかもしれへんわ。
そのバランスが崩れたら、ドロドロとしてしまうやろし、みっともない事この上なしや。
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62 中年仲間

2002/08/19 14:09

んだんだ...(ずずず〜っ)。しかし、最後に別れた女に電話したなんて、何年前の事なんだろ...(遠い目)

こうして後は腐って行くのみなのよね...(中年の悲哀)
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63 中年仲間(女)

2002/08/19 19:52

女は思い出さん・・かも。

私だけか・・。


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64 氷犬

2002/08/19 23:45

>こうして後は腐って行くのみ

パパさん、何をおっしゃる。
まだまだ折り返し地点や。
いや、百里の道を行かんとすれば、九十九里を以って半場とす、て精神からすれば、半場さえま〜だま〜だ先や。
色気を失うてパサパサするのは、まだ早いで。(笑)
(いや、パサパサはしてへんのか。水気があるから腐るんやろし・・・(笑))

中年仲間(女)さん、
>女は思い出さん・・かも。

ややや・・・・やっぱし?

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65 nicopapa

2002/08/20 08:02

んん?  中年仲間さんと私が混同されているような...なぜだろう?
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66 まりかちゃ

2002/08/20 13:12

うーん。
わかんないですね、なんでなのかは。一途って言うと、ちょっと語弊がある気もするんですよね。なんとなく。
昔の歌に
「男と女の間には深くて暗い川がある」でしたっけか?(笑)

たぶん、「あの女わからんなぁ」って謎なところがますます惹かれる理由なんだろうなぁ・・・
100%手に入れたいと思うのに、数%手に入らない部分が氷犬さんにとって不可解ではないんだろうか?

でも、もともと100%って言うのは無理なのかも・・・?
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67 YOU

2002/08/20 20:59

>水気があるから腐るんやろし・
送ってきた梨、ほんとにみずみずしくて美味しいのに
今年の暑さのせいか、はやく腐ってしまいそう・・。
で、あせって食べてる・・。
梨も人生もおんなじだなあ・・しんみり。。

表面のしわを脳の中に配置転換できたら、万々歳だなあ
・・ぼそぼそ・・。

氷犬さんもぱぱさんもこれからや!
がんばってやー!!
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68 氷犬

2002/08/21 01:15

パパさん、
あ、こらまた失礼。(笑)
そや、混同はいかんで混同は。あ〜く〜ま〜で〜も、中年仲間さんは中年仲間さん、nicopapaさんはnicopapaさんやな。
よくよく考えてみたら、妻子持ちのパパさんが昔の女に電話したなんて不届きな事、書く訳あらへんし。(笑)

まりかちゃさん、
♪ロ〜アンドロ〜、ロ〜アンドロ〜、振り返るなロ〜ロ〜♪
やな。

YOUさん、
梨と人生・・・・う〜ん、文学のかほりがするわ。
ちょっと酸っぱめのかほりやな。(笑)
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69 まりかちゃ

2002/08/21 15:05

振った手前、知らないとは言えないなぁ(笑)
そそ、そうです(複雑な胸中)(笑)
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70 氷犬

2002/08/21 23:03

ああ・・・若い人は知らんかもしれへんわ。(笑)←特別な意味はない「(笑)」です。
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71 wolf

2002/08/22 16:25

>「男と女の間には〜」
人間の女ですら、そーなんですからねぇ。。。

いわんや魑魅魍魎の♀をや。(笑)←特別な意味はない カキコです。
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72 氷犬

2002/08/24 01:48

さて、ここで唐突にクイズです。

負け犬シリーズに出て来る登場人物の名前の付け方に関して。
イニシャルを用いる他は、大概本名をもじるケースが多い。これは前にYOUさんに聞かれて答えた通りや。
けど、そうやってもじってると、時に失敗する事も有るんよ。
さてそれでは問題。
これまでの負け犬シリーズで、名字が重複する人が居ます。さて誰と誰でしょう。

(単に似てる名前を、同じ仮名にしてもうたんや。カッコ悪。けど、それをクイズにするわ。転んでもただではおきんで〜。)

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73 まりかちゃ

2002/08/24 22:52

ううっ、すいません、私名前全然覚えてません(汗)
覚えてるのは、猿と雉。(呼び捨てかい)(汗)
あとKさんだっけ?

(これは、老化というべきか、それともいい加減な読者と言うのがばれたか・・・)
自分が名前で覚えず、何をした人って感じで覚えてるのを確認しました。自分で書くときは名前苦労してるのになぁ・・・
すみませーん。。。m(__)m
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74 氷犬

2002/08/25 01:10

まりかちゃさん、
なにも誤らんでも・・・(笑)
そもそも、これに気付いたんは、まりかちゃさんのお陰なんやで。
「作品倉庫に」て言うてくれたもんを校正しとった折、(言われた締め切り思いっきりぶっちぎっとるがな(笑))ふと気づいた事や。
もしかしたら、YOUさんはこれに疑問を抱いて「登場人物の名前は・・・」て質問くれたんかもしれへんし。わしにこそっと「おいおい、名前かぶっとるで。」てサインで。(笑)

さあ!答えは早いもん勝ちや!
そのものずばり、答えたってや。
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75 YOU

2002/08/25 20:22

氷犬さん こんばんは!(ごく丁寧に・・)
あのうそのう  まりかちゃさんの前三行といっしょです。
名前、覚えられません。実社会では200人以上のお客さん
の名前を覚えてるので、もう記憶がまんたん(笑)

自分のIDやパスワードでさえ、メモしてる始末。

>もしかしたら、YOUさんはこれに疑問を抱いて
「登場人物の名前は・・・」て質問くれたんかもしれ
へんし。わしにこそっと「おいおい、名前かぶっとる
で。」てサインで。(笑)

しかし、かっこつけたかったなあ・・。

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76 氷犬

2002/08/25 23:43

お・・・・案外誰にもばれてへん?
もしかしてわし、クイズという名の墓穴掘ったか?(笑)

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77 まりかちゃ

2002/08/25 23:48

>もしかしてわし、クイズという名の墓穴掘ったか?(笑)

というより、やぶへびかと・・・(笑)

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78 wolf

2002/08/26 09:36

「連」でやぶつつくと、ヘビどころじゃ済まないし(笑)
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79 氷犬

2002/08/27 01:04

う〜ん、突付きまくっとるだけに、説得力あるわ。(笑)
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80 YOU

2002/08/27 20:24

いつも通る道に「まむし注意」という立て札があります。
(こわいなあ・・ほんとやろか)で、そこは横が竹やぶ
なんやけど、明日からはきっと<この竹やぶが本好き連や>
と思うことでしょう。くわばら・・
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81 氷犬

2002/09/01 22:57

藪をつついたら、ヘビが出んとボロ出した。

クイズの答えは、パクリ屋と和美や。

(新)「負け犬の遠吠え」で書いた「パクリ屋」の中に出て来る、留置場で逢うたパクリ屋の名前が冴木。これは「す○木」をもじった物。
更に最新作(笑)「激情」で出て来た和美が、事務所に初めてかけてきた電話で、「冴木」と名乗っていた。(名乗らせてしもた、が正確な記述やな。)
これは「○○木」て名前をもじったつもりで、つい同じ名前にしてもうた結果や。ここで本職の作家さんやったら編集者さんがチェック入れる所なんやろけどなあ。(居もせん人のせいに、したいみたいやなあ、わし。(笑))

クイズといえば過日、クイズスレを作ろうて提案がチャット上で有ったんで、近日作ろうと思うとります。
そのクイズスレ、出題と答えのスレを分ける事を考えてます。
出題スレでは誰でも出題出来る様にしたいんで、(つまりはわし一人で出題しきれんから、皆に出題してもらおうという謀略やな。(笑))解答スレを設ける事により、話が交錯する事を避けようという試み。
しかしながら、その具体的な方法を少々思案している最中なんで、起案者の方々、もう暫くお待ちください。
ここを読んでいる方は、立ち上げ時には、出題、解答どちらにでも、
奮ってご参加下さいな。(ここでの宣伝効果は怪しいもんやけど、既に宣伝要員は若干名確保済み(笑))


「激情」が終わって早2週間。
そろそろ次の落書きでもいてこましたろかな、と検討中。
次のお題は「・・・・」・・・・やめとこ。
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82 まりかちゃ

2002/09/04 15:29

クイズスレですか。。。出題と解答を分けるとなると、難しくありませんか?

どうなるのかなー?(笑)

もちろん、参加いたします。けど、数学みたいなのはダメです。
お馬鹿ですから(笑)
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83 wolf

2002/09/04 17:31

同じスレで解答書いちゃうと、早いモン勝ちになってしまいますからねー。
瞬殺されると、問題考える方も大変だし。(笑)

#おーごしょがこー言ってるので、是非とも数学を(笑)
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84 氷犬

2002/09/05 00:46

wolfさん、
違うスレでも、皆が見れるのやったら同じ事やなて思うて、メール募集ありにしたんやけど、どやろ。

それにしても、「創作小説カテ」にクイズて、ありなんやろか・・・・まあ、やってまったもんはしゃあないで。(笑)
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85 氷犬

2002/09/16 23:17

前の落書きが終わって、はや一月。
クイズやらゴルフやら・・・・ゴルフやらクイズやら・・・・(二つだけいかい!)色々と現を抜かしとったら、あっという間に一月がたってしもたわ。
さあ、久しぶりの落書きでもこましたろかな。

前の書き込みに題名を「・・・」て、書こうと思うて書かんかったのは正解。
書こうと思うたのは、わしの唯一の入院話なんやけど、それはまたいずれ。
今回は軽く、前の業界話や。

落書きその8

「賃貸」1

「鎌田産業の桑田さんに紹介してもらった者なんですが。」
猿が取った電話から聞こえて来たのは、如才無い男の声だった。
用件は、自分の所有している分譲マンションを賃貸したいので、仲介をしてもらいたいとの事。
桑田とは、俺が地上げの仕事で世話になった分譲業者である。
男は自分の名前を渡辺と名乗った。
猿は用件を手短に伝えると、電話を俺に回す。
「突然お電話で失礼を致します。」
慇懃な切り口だった。
「用件は粗方聞きましたわ。で、わしの所で仲介せえと?」
「はい。是非。専任で構いませんので、何卒宜しくお願いしたいのですが。」
「見ず知らずの業者に、いきなり専任ですか?」
俺はその時、多少なりともある種の匂いを嗅ぎ取っていた。
「いえ、それに際しては、やはりお互いの信頼関係が大切でしょうし、是非一度お会いしたいと思いまして、お電話を差し上げたんですが。」
「なるほど。」
言っている事は理にかなっているようだった。
「ところで、桑田さんは惜しい事をしました。」
その電話の一月ほど前、桑田は癌で逝去していたのだ。
「桑田さんとはどういうご関係で?」
「遠い親類に当たりまして・・・今の物件を世話してくれたのも、桑田さんなんですよ。それで賃貸したいと相談を持ちかけると、氷犬さんの連絡先を教えてもらいました。」
「そうですか。なるほど。分かりました。」
俺はその言葉に頷くと、後日の訪問を承諾した。

本来賃貸物件の家主は、仲介業者からは金づるである。飯の種をもたらしてくれる神様なのだ。
来訪の意を申しだされれば、こちらから出向く位の事は当たり前である。もっともそれは、相手の資力を値踏みする為の現地調査も兼ねてはいるが。
しかし俺は、仲介がメインの収入源ではない。仲介専門の業者ほど、家主に媚びを売る必要性は無かった。
来るといえば、はいそうですか、と迎え入れ、来ないといえば「又の機会に。」とばかりに流す。鷹揚な不動産屋であった。

来訪の約束をした数日後、渡辺と名乗るその男は、地味な出で立ちで俺の事務所の前へ立ったのだった。

落書きその9以降へ続く。
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86 YOU @編集者(臨時)

2002/09/24 21:51

先生、原稿を頂きに参上しました。
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87 氷犬

2002/09/24 23:36

ああ、今週も落としてしもたか。(笑)

明日には書く。必ず書く。

・・・最近、嘘が下手になってしもた様やで。
翌日にはすぐばれる嘘しかつけんわ。(笑)
いや嘘うそ。
何が嘘?
明日には書くて、ほんまに。
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88 YOU @編集者(臨時)

2002/09/25 07:52

↑、本当のことは本文最初の一行だけ・・。(笑)
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89 氷犬

2002/09/26 01:21

最近はクイズに忙しくて(お、早速言い分けしとるで。(笑))落書きもおろそかになってしもてたな。
久しぶりに、書かせてもらうわ。


落書きその9

「賃貸」2

渡辺は自分を奈井江の百姓だと言った。
野暮な背広に訛りの強い話し方は、その言葉を裏付けるかの様である。

数年前、農地の一部が売れたのだ。
その売った金の利殖の為に、札幌にマンションを買い、今まで親類の学生を住まわせていたのだが、その学生が卒業と同時に札幌を離れた為、新たに賃貸したいとの事。
必要な書類は一応揃えてあった。
俺はその中の登記簿謄本を手に取り、内容をざっと検める。
抵当権も設定されていない、綺麗な物件だった。
「お話は大体分かりました。それで、賃貸料はどうお考えですか?」
「はい。家賃は15万円位だと助かります。それと・・・敷金って言うんですか。あれはいくらくらいが、いいんでしょうかねえ。」
札幌の中心部からさほど離れていない地下鉄駅徒歩数分の分譲賃貸である。築年数4年。間取りは3LDK。妥当な家賃設定ではある。
「物件の痛み具合にも拠りますが、賃貸料はその位からの交渉でしょうね。敷金は通常、2月分でしょうか。」
渡辺は大きく頷く。
「ただしですね、敷金という言葉は使わない方がいいでしょう。」
「と言いますと?」
「敷金としてではなく、契約料として受領した方が何かと有利なんですよ。」
「はあ・・・・」
渡辺は俺が何を言おうとしているのか理解していない様子だった。
「敷金とは契約期間内の退室に際しても戻さなくてはならないと、裁判の判例にも有るんです。ですから、契約料という名目で受領してしまうんです。勿論契約期間満了後の退室の際はそれと同等の金額を返還するという特約を付けますがね。これだと契約期間内の退室の際は戻さなくてもいいんです。契約者からすれば、敷金であろうと契約料であろうと、退室の際に戻って来る金ですから問題なく承諾してくれますし、契約期間内の退室には返還しない契約料とする事で、むやみな退室やその際の家主の損失を防ぐ事が出来るんです。」
「なるほど。」
「ですから、もしこの物件が契約の運びとなった場合、その折に貸主の渡辺さんは敷金という言葉を使わないで戴きたい。」
「分かりました。それと、ええと、何でしたっけか。ああそうそう。礼金とかいうものはどうなんでしょうかねえ。」
「残念ですが、本州などと違って札幌の賃貸借契約の場合、通例的には礼金という物は発生しません。借主が支払うお金の内訳は、家賃、敷金又は契約料、仲介料の3種類です。」
「ああ、そうなんですか。」
渡辺は少し残念そうに言った。
「ああ、それと・・・・言いにくい事なんですが・・・家賃について、一つ条件が有るんです。」
「条件と言いますと?」
「わたし、借りていただくんでしたら、長く借りていただきたいんです。」
「貸主だったら当然かも知れませんね。」
「ええ。ちょっと借りて、すぐに出ていかれても困りますし・・・。」
「家賃収入の不安定につながりますからね。」
「それに、住んですぐに家賃を払ってもらえない様な事にでもなったら困るんですよ。」
「当然の懸念でしょう。まあ管理を私どもに任せてもらえるんでしたら、家賃の徴収はきっちりやらせていただきますが。」
「はあ・・・いや、そこでですねえ。前家賃として、一年分、いえ半年分でいいですから、先にもらえないですかねえ。」
「え?」
俺は思わず聞き返した。
「いや、その位払える、しっかりした人に入ってもらいたいんですよ。半年分も払えない様な懐のきつい人だと、先々が不安ですし。」
「おっしゃる事は理解出来なくは無いですが、前家賃半年分とは異例ですからねえ。そういう条件を付けると、入られる人が限られる可能性が高いですよ。」
「そこを何とか。年寄りの不安を、少しでも和らげて下さい。」
渡辺は、そう言って応接テーブルに両手をついた。自分で年寄りと言うほど老けてはいない。書類に拠ると、52歳とある。
「分かりました。前家賃6と契約料2、仲介料2の合計10ヶ月分をすぐにポンと払える人が、おいそれと居るかどうかは分かりませんが、その線で募集をかけてみましょう。」
「有難うございます。」
少々芝居がかった大袈裟な身振りで、渡辺は頭を下げたのだった。
「部屋は今から拝見できますか?」
「ええ、それは勿論。」
「それでは当社の担当がご一緒しますんで、ご案内お願いします。」
そう言うと俺は、雉を渡辺に紹介し、物件を見て来る様に命じたのだった。

「がめついオッサンですね。」
渡辺が雉と出て行った後、猿が俺に言った。
「そこの所が少し引っかかるわ。おう猿。法務局行って登記簿挙げて来い。」
「え?登記簿だったら、オッサン持って来たでしょう。」
「素人みたいな事言うなや。ええから行って来い!」
そう言って俺は、猿を追い立てた。
今にして思えば、横着をして渡辺の持参した登記簿謄本を鵜呑みにするといった愚を冒さななかった事が、俺達を救ったのだった。

落書きその10以降へ続く。
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90 まりかちゃ

2002/09/26 01:41

あー、詐欺っぽいなぁ。。。お金欲しがるところが(笑)しかも1年の家賃って・・・

専任とか、注釈つけたほうがわかりやすいかもしれませんね。
宅地建物取引業者ばかりが見てるとは限らないし(笑)
これで、氷犬さんが専任だったら。。。いろいろやばいですよねぇ。
私、昔、宅建受けたことがあるんですけどね。。。見事に滑りましたが(笑)滑って正解なんだけど。
不動産業なんかやったことないのに、業法なんかわかりませんって(笑)
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91 氷犬

2002/09/26 16:27

注釈かあ。
麻雀の時はせっせと注釈付けとったけどなあ。
いや、今回はさほど内容に重要な要素やないんで、付けへんわ。さらっと読み流して大丈夫やで。(面倒臭いなんて決して思うてへんで。ほんまやで。・・・・最近、下手?(笑))
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92 wolf

2002/09/26 17:45

祝!連載再開。
クイズスレとの両立、大変でしょうが頑張って下さい。

ヤバイ。。。
『負け犬』がストップしてたので、安心してたのに。。。
『猫さん』もそろそろ書かんと、イカンな〜。(笑)

>おーごしょ。
>滑って正解〜
です。
勘だけで宅建取られた日にゃ、地元住民が堪らんでしょう(笑)
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93 まりかちゃ

2002/09/27 00:50

うる、いらんことばかりゆーとらんで、猫さんでも書け!!
あんまり、歳の事ばかり書くと、私よりおねーさまは一杯いるんだからね!ここには。(笑)
怒らせると、怖いよー、たぶん、わたしより(笑)
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94 YOU

2002/09/27 08:17

うる
うるうる
うる うる うる !!!(笑)(笑)(笑)
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95 氷犬

2002/09/28 20:59

wolfさん、
>勘だけで宅建取られた日にゃ、地元住民が堪らんでしょう

多分、札幌周辺の住民は大変やろなあ。
わし自信が「勘だけで」派やから。(笑)
そやかて、4択やからなあ。問題の知識以外の「読み」ちゅうのも駆使したら、案外正解出てしまうんよ。良くないで、あれは。

宅建の時は参考書、問題集なんぞ一切読まず、講習の類も全く出ずにぶっつけ本番やった。
免許取り消しの後の取り直しも、手稲の試験場にぶっつけ本番。
試験管に「やめた方がいい」と切々と説得されたけど・・・・
やったら出来るもんやなあ。何事も。
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96 YOU

2002/09/28 21:18

もし札幌に引っ越すことがあっても
氷犬不動産だけは、立ち入らないようにしょうっと。

負け犬シリーズ、ためになります!(笑)
>やったら出来るもんやなあ。何事も。
子どもたちにも、言い聞かせます(笑)

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97 wolf

2002/09/30 20:07

もしかすると、記憶違いかもしれませんが。。。。。

氷犬さん、お誕生日おめでとーございます!
(私の記憶が確かなら、3〜4日の遅れたかと…)

違ってたら、どーしましょ?(笑)
ついでに、、、
「不惑」ゲットおめでとーございます!!


これで違ってたら、マジで締められるな。うん。(笑)
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98 氷犬

2002/09/30 23:22

あははは。
今年はこっそり大台に乗ったつもりやったけど、ばれてしもたわ。(笑)
wolfさん、ありがとな。
去年の失踪事件が有ったから覚えてくれてたんやろな。
「おめでとう」て言われるのは、いくつになっても嬉しいで。

あ、それと、わしの95の書き込みで、「免許取り直し」て書いてるけど、これは運転免許の事な。
宅建と同じ段落に書いてるけど、宅建の事やないで。(取る所、宅建は手稲やないし。(笑))
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99 かなめ

2002/10/01 17:13

ああそうかぁ、お誕生日・・・
遅くなりましたが、おめでとうございますvv

こっそりなんて言わないで、来年はもっとおおっぴらに行きましょう〜(笑)
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100 YOU

2002/10/01 19:01

何日か前、40過ぎたヒヨッコと書いてらっしゃったので、
誕生日きたんやあ・・と思っていました。
(ヒヨッコですわよ)(号泣)
ますますの、ご発展を!

ところで、手稲って試験場ですか?なんて読むんですか?
わたしんとこなんか・・ほんとにはずかしーとこ
なんです。試験場。羽束師・・。
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101 wolf

2002/10/01 21:48

よかった〜。
取り敢えず、生き延びっ!(笑)

>YOUさん
「ていね」って読みます。
ところで、「羽束師」は何て読むんですか?
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102 まりかちゃ

2002/10/02 00:48

ああ、そーなんだ、おめでとうございます〜うふふ♪
仲間が増えるのは嬉しい♪

でも、私の歳をばらしたのは、氷犬さんだからねぇ。。。
忘れないわ。。。
おかげで、酷い目にあってるんだからねぇ。。。(笑)
せっかく内緒にしてたのになぁ。。。
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103 YOU

2002/10/02 09:02

wolfさんが飛ばされていないかと心配してました。
カメラを抱えてれば重しになるとは思うけど・・。

手稲は試験場にぴったりですね。ていねいな運転で
きそう・・(ま、名前だけ)
<はずかし>なんか笑いながらでないといえないし。

クイズにすればよかったかも。


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104 ともちゃんだ!

2002/10/02 10:54

○氷犬さま
遅ればせながら、お誕生日おめでとうございます。
そうっかぁ、氷犬さまって「うわ歳」なんだぁ。知らなかった。。。
で、まりかちゃんも近いのね。それもしらなんだ。。。

手稲・・・懐かしい。。。ともは免許の合格発表の時、同じ学校のおばちゃんたちと立ち話してて、発表を見逃す(見てる場所が違ったらしい)という、今だから笑えることをしてしまいました。ちなみに結果は、おばちゃんの代表が職員に聞いてメンバー全員合格で安心しました。。。
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105 氷犬

2002/10/02 11:40

かなめちゃん、YOUさん、まりかちゃさん、ともちゃん、
皆さんどうもありがとう。
この歳になって皆におめでとう言われるのは、なんか面映ゆいけど、素直にありがとうて言わせてもらうで。

最近、どこかで読んだか誰かに聞いたかした言葉なんやけど、「誕生日とは、生んでくれた親に感謝する日でもある。」てのに感心させられた。
(感心したんなら、どこで聞いたか覚えとれや!てなもんやな。(笑)記憶定かやないんで、本好き連のBBSで読んだ事やったら、えらい恥ずかしいなあ。)

本人的にはもうこの歳で誕生日なんぞおめでたいもクソも無いけど、生まれてから40回目の感謝できる日を迎えられた事や、親に感謝できる事自体に「おめでとう」て言葉をかけてくれたと思うて、素直にありがとうて返すで。

26日の夜。
友人達がささやかな(わしが言うか?(笑))誕生日イブのパーティーを催してくれた。
まあ、酒飲む口実やろけど。(笑)
それが終わって、帰りのタクシーの中。
日付はとっくに変わって、誕生日当日やった。
たまに電話でもして、母親の声でも聞こかと思うて携帯を取ってダイヤルをした。
唐突に「ありがとな」なんぞ言うたら、気色悪がるやろかと思いながらコール音を聞いた。
けど、何度鳴らしても電話には出ない。
その時になってようやく気づいたわ。今が深夜やて事。
老人は寝てる時間や。たたき起こしたら、それこそ「ありがとう」もクソもあるかい、てなもんやな。
俺は携帯を切った。
あしたの昼間にでもかけようか、て。


けど寝て起きたらすっかり忘れて、結局掛けずじまいやったで。
まあ、口に出して言うのも柄やないし、腹の中で思うてるのが、ええかもしれへんわ。
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106 まりかちゃ

2002/10/03 14:43

>「誕生日とは、生んでくれた親に感謝する日でもある。」てのに感心させられた。

これね。。。ウィング妻さんの言葉です>本のbbsで(笑)
私も、いたく感心した覚えがあるので、覚えています。
感謝の気持ちってなかなか伝えられないのよね。
思ってはいても。

「ありがとう」と「ごめんなさい」を素直に言うのはなかなか難しいです。

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107 氷犬

2002/10/03 15:23

>ウィング妻さんの言葉です>本のbbsで

ああ、そやったか。
なかなかええ言葉やで。なあ。
(身震いするほどカッコ悪ぅ〜〜〜!!(笑))
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108 桐生未月

2002/10/03 20:07

あら…お誕生日だったんですね。
おめでとうございます。

仕事忙しくて気がつかなくてごめんなさい。

えーと、40歳なんですか!?(<自爆)
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109 YOU

2002/10/03 21:07

「誕生日とは、生んでくれた親に感謝する日でもある」
最近の子どもたちは学校でそう聞くみたいですよ。
私も子どもから言われてなんかとてもうれしかった記憶が
あります。
だってなんで生んだんやーと責められそうな、雲行きや
ったから・・。(笑)

氷犬さんの母上ってどんなひとなんやろ?
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110 氷犬

2002/10/03 23:01

女王さん、
ありがとうな。
えーと、40歳なんです。(笑)

成人してからの稼業で、時効を迎えたヤマの話出来るくらいやからなあ。

YOUさん、
わしの母親か?そこらのただのおばちゃんやで。
二十歳で生んだ子が四十なんやから、そう言えば今年還暦やったんや。
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111 まりかちゃ

2002/10/04 14:15

若いお母さんでいいなぁ。。。私の母は遅く私を産んだので、もうかなり年寄りで。。。弱ってきてますので。

元気なうちに大事にしてあげてくださいね。還暦ならまだまだお元気でしょうけれど。。。
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112 氷犬

2002/10/20 23:06

月刊化や・・・・とうとう月刊化になってしもたわ。
前に書いたのが先月の26日。で、今日は20日?
自堕落なんは元々やけど・・・・だらしないにも程が有るわな。

で、なんで今日書く気になったかて言うと、さっき飲み屋でホステスに言われた事がショックやったからや。
何を言われたかて?
わし、飲み屋で飲みながらタバコを吸ってたんよ。そしてもみ消した時の事。
「わあ、やくざ者みたい。」
わしのもみ消したタバコが、先から数センチ位しか吸うてないのを見たホステスが、冗談のつもりで言うたらしいわ。
そんな所で「みたい」て言われるちゅう事は、そんな所以外は「みたいやない」て事や。
「丸くなったんかな、わしも。」て妙に感慨深いもんが有ったわ。
で、前の事つらつらと思いだしてたら、色んな事を思いだしてな。
落書きしたくなったんよ。
けど、書きかけの「賃貸」終わらさんと・・・・て、思うたら書く気になったちゅう訳。
(で、早速早く帰って来たのに・・・・結局書くのはこんな時間や。(笑))

さ、それではさっさと終わらしたいんで、落書きといこか。
(けど、今回では終わらんのよな、これ。)

落書きその10

「賃貸」3

渡辺が来社した翌日、俺は終日物思いに耽っていた。
物思いに耽りながら、つい口元が緩む。
渡辺をどう料理するかを考えていたのだ。
登記簿を上げたのは正解だった。
法務局から猿が持ってきた登記簿に載記載されていた持ち主は渡辺ではなく、全く別の金融屋だった。渡辺が持ってきた登記簿は偽造だったのだ。
知らぬ事とは言え、やくざ者にヤマを掛けるとは上等である。恐ろしさを思い知らせてあげるいい機会だ。そんな事を考えていると、口元が緩んでしまうのである。
脅し上げるのは簡単だ。しかしそれでは芸がない。まして、偽造の登記簿を見ると、とても個人で仕上げた様には見えないほど精巧な出来である。つまりは背後に某かの組織が見え隠れしているのだ。そこまで引きずり出さなくては、気が治まらない。
気が治まる方法を、俺は練りに練った。そして、アホらしい茶番を思いついたのだった。

俺は、その翌日の夕方、渡辺に電話をした。
「渡辺さん、客が見つかりましたよ!」
「え!?こんなに早くですか?」
電話口の渡辺は意外だった様である。
「ええ。実は、丁度渡辺さんの物件にぴったりの条件の物件を探している人が以前から居たんですよ。その人に紹介してみると、即決でした。」
「そ・・・そうですか。」
あまりにも御誂え向きの話に、幾分不審がっている様子がうかがわれる。そこで俺は、取り逃がさない為の大きな餌を鼻先にぶら下げた。
「前家賃の件ですが、先方に真っ先に話しましてね。それが契約が出来るかどうかの一番のネックかと思いまして。」
「で、どうでした?」
渡辺は軽く食いつく。
「最初は難色を示しましたよ。当然ね。けどこちらが大家さんの堅実な姿勢を誠心誠意話した所、なんとか理解してくれましてね。」
「理解・・・してくれましたか。」
「ええ。それどころか、そんな堅実な大家さんでしたら、こちらも安心して付き合えると仰って下さいましてね。」
「それで?」
ぐぐっと引いてくる。
「半年どころか、一年分先払いしてもいいと言ってくれましたよ。それの方が毎月の支払いの面倒が無いと。」
「そうですか。」
すっかり明るい声。キャッチだ。
「しかし、問題が無いとは言い切れないんです。」
「え?」
「先方はホステスなんです。月々の収入が不安定なんですよ。ですから一年間の先払いにも応じたはずなんです。先払いの分は確保できるかもしれませんが、その先はもしかしたら・・・不安定かもしれませんね。」
あまりにも好条件ばかりだと嘘臭いものである。一点だけ悪条件も付け加えるというのが、真実味を増すのだ。それも相手に不利益にならない程度の悪条件を。この場合、敷金と前家賃をパクるだけの渡辺にとって、一年後の不安定要素など全く関係ない事である。案の定渡辺は言った。
「いいですよ。先の事はなんとかなるでしょう。一年後の事を考えて、貯金する様にしてもらってもいいですし。」
完全にキャッチした。
「それでは、契約はいつにしましょうか。先方はすぐにでもと言って下さいますが。」
「・・・・そうですねえ・・・それでは、明後日にしましょうか。」
慌てて明日、と言ってこないのはこちらに見破られたくないせいだろう。
「分かりました。それでは詳しい日時は明日にでも連絡しますんで。」
そう言いながら、俺は笑いをかみ殺して電話を切ったのだった。

そしてその翌々日。
俺の事務所のカウンターには、子豚ちゃんがすました顔をして座っていたのだった。

落書きその11以降へ続く。
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113 YOU

2002/10/21 07:59

いつ、急かそうかなあ・・・なんて思っておりました。
ひさびさの「本業」(本好き連でのですよ。あくまで)(笑)
おめでとうございます!(なんでや)

氷犬さんのカキコミを生活防衛の手引きにしてるんですから。
いろいろウラ話、聞かせてください!

でも、子豚ちゃんって?  可愛いぃ(多分)
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114 まりかちゃ

2002/10/21 13:00

うう、面白そう。。。氷犬の逆襲??(笑)
子豚ちゃんって。。。仕掛け人かなぁ?わくわく♪
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115 madoc

2002/10/21 16:42

兄貴ぃ、うちのメール読んでくれたぁ?
それとも、もう、うちのこと、う・うちの事飽きたんかぁぁぁ!
ウワワアアアアアアアン
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116 YOU

2002/10/21 17:03

 慟哭の主は ど、どくたーなの?
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117 madoc

2002/10/21 17:11

落書き11
やっぱ、落書きせんと兄貴に刺されたらコワイ。
アニキに渡した奴の番外編や。

<わしの友達・そしてネットでの友達・よよ>

見知らぬ皆さん、聞いて下さい。
血液グループです。
9月5日、ナディア君をお見舞いに行きました。
お姉さんのHPを見て、血圧が不安定になってて透析もできない状態だと書いてあったので・・・。

ナディア君はICUでテレビを見るともなく見ていました。
「血液グループだよ、気合い入れに来たよ!分かる?」
 と叫ぶと、喋ることは出来ないけど何度も何度もうんうんと頷いてくれました。
「2##のみんなも応援しているよ!!」
(後で考えたらICUナースの前でこれを叫ぶのはマズかったかも・・苦笑)
 と叫んだらニヤリと笑ってくれました。
握手をしたら私の握力に痛そうな顔をしましたが、同じくらいの力で握り返してくれました。
その時、点滴されている内容などから正直厳しいなと思ったので、失礼ですが
お姉さんに「万が一の場合は、私にも連絡して下さい。」といいました。
でも、でもどうしてもここを乗り越えて欲しくて、2ちゃん復活して応援団に加わらせて貰いました。

お姉さんから電話があったときは、何を言っているのか分からなくて最初イタズラ電話かと思い「ハッキリ喋ってください。イタズラですか??」と
言ってしまいました。9時21分に亡くなったのに、私に10時4分に電話してくれたのです。泣き声混じりのくぐもった声でよく分からなかったのでした・・・。
ゴメンにゃ、お姉さん、あの時、イタズラ電話扱いして。
2ちゃんねらのわしに、こんなに早く電話してくれてありがとう。
そして「みんな、心配してると思うから、わしが報告していいか?」と言ったとき
「お願いします。」と言ってくれてありがとう。
生きてるつもりで応援してる人にも気の毒やと思ったから。
ごめんな、応援足りなくて。

思い出しました。嬉しかった事。
ナディア君に一度だけメールを書いたことがありました。
ナディア君が自分のHPを2ちゃんに貼り付けた時です。
荒らしとか来たときにはうちの弟がパソヲタだから、修理手伝うよって。
お見舞いに行ったときにお姉さんが、その事を話してくれたんです。
「先生、前に1にメールくれたでしょ。
 1は”誰にも内緒な”って言って見せてくれたんですよ。」
 って。なんか、凄く嬉しかったなぁ。


詳細が知りたい人は兄貴に全て送ってあります。
わしは、まだ、こやつが逝っちまったせいでゴタゴタしてるもんですから。(場所が悪いんだ、場所が)

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118 氷犬

2002/10/22 00:03

突然センセの落書き読んでも意味分からんて人も居るやろから、わしからちょっと補足な。

今年の春頃、某巨大掲示板で研修医の間抜けさを煽るようなスレが立ったんよ。
そのスレに反応したのが、「血液グループ」なる血液の専門医。
血液グループが、スレ主によくよく話を聞くと、ある血液に関する病気で入院している若者やった。
入院生活を送る上での苛々がつのり、ストレス発散に書いたスレやったらしい。
その内、スレ主はレスして来る血液グループや他の医療従事者、その他の人たちに徐々に自分の境遇等を話し始める。
色々とやり取りをして行く間に、打ち解けて行く訳や。
そのスレ主ちゅうのが、センセの書き込みで出て来る「よよ君」=「ナディア君」=「1君」ちゅう訳や。
スレ主は7月上旬、移植手術に入る旨書いて、それが最後の書き込みになってしまう。
その後も、血液グループ他「応援団」と称する者達が、彼の帰還を願いつつ様々な書き込みをしていたんやけど、結局9月の下旬に残念ながらこの世を去ってしもた。
そんな背景が有っての、センセの書き込みや。

直リン貼るのんがベターかどうか分からんから書かんけど、もしそれらの詳しい事を知りたいて人が居たらメールくれるか。
そんな人には教えてもええやろ?センセ。
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119 まりかちゃ

2002/10/22 00:41

氷犬さんも優しいですねぇ。。。身勝手なやつの説明までしてくださって、お疲れ様です。つか、お気の毒です。

本人がいるんなら、本人にやらせたらいかがですか?
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120 madoc

2002/10/22 04:54

まりかちゃん、つーわけで、精神的にスゴく追い込まれてる時でメールの返事だせんですまんかったな。
いや、わしはまだ、こいつの後かたづけ(わしかて辛いけど応援団の中にも誰かの助けを切実に求めてる人がようけいるんよ、その人達へのアフターサービスや)
だから、兄貴、頼む。
直リンは勘弁してください。ここの人は大丈夫だと思うけど、事が全て終わってから、読んだ人の中には、ちょっと、悲しい事をいう人がいるので。

兄貴へのメールでお願いします。
注意書き:この「血液グループ」なる人間はヴァーチャルに存在する、わしがこうあれかしと思っているニンゲンで、実際のわしとは関係ありません(笑)。
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121 かなめ

2002/10/22 09:23

どくたー元気(と言えば元気よね?)にしてたのね〜
うんうん、今日もどこかであなたの助けを待ってる人が居る。
いつでもそういう声が聞こえる方を向いて一生懸命にやってるどくたーが好きだから、これからも思う通りに走り回ってください。
んで、今回みたいに時々ぬるま湯の温泉に浸かりに行くように顔見せてね。
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122 まりかちゃ

2002/10/22 16:04

madocのおおぼけ!

私はかなめちゃんのようにやさしいことは絶対言わないぞー。
てめー勝手な都合ばかりで、あちこちでしゃばって、結局ここに泣きに帰ってきてるだけじゃねーか。
そんなあんたを出てこないからって心配してくれてる人もここには大勢いるんだぞ。私は心配してないがな。
どーせ、好き勝手にしてるんだろうから。

ただ、私に聞かれるのが困るんだよっ!!
てめーの安否ぐらい、自分で報告しろっ!!いい迷惑だ。
HPのリンク切れても、知らん顔。いい加減にしろよ!ぼけなす!!
礼儀知らずは大嫌いだ!!!
2ちゃんだろうが、どこでも行きたいところに行けばぁ?
2ちゃんの流儀をここに持ち込むなよ。

ところで、精神的に追い込まれてないときがあんたにあったっけ?(笑)

あー、すっとしたぁぁぁ。。。

あとのフォローは氷犬さんに任して、逃げよっと。スタタタ
(ごめんよー、氷犬さん)
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123 madoc

2002/10/22 17:48

おほほほほほほほほほほ、相変わらずお口の悪さは変わらないのね、まりかちゃさん(にっこり)。
あたくしは、ちょっと優雅な喋り口調だから、まりかちゃさんには理解できるかしら(にこ〜)。

あ〜、ここは、正直言ってまりかちゃの言うとおり。
自由気ままに動いて、辛くなったら泣きに帰って来るところ。
みなさん、だから、辛くなったら必ず帰ってくるから、便りがなくても「あ〜、またどっかで暴れてるんだろうな」と思っててください。

みんなのこと大好きです。頼りにしてます。だから、”もうダメ”と思った時に帰ってくるんです。

ま、本好き連の放蕩息子としてこれからもよろしくにゃ。
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124 まりかちゃ

2002/10/22 22:55

放蕩息子というよりは「フーテンの寅」だな。。。
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125 氷犬

2002/10/23 22:55

まりかちゃさん、
フォローかあ。難しいな。
必要ないフォローほど難しいもんないで。遠慮しとこ。(笑)

YOUさん、
子豚ちゃん、だ〜いぶ前に書いた話やから覚えてへんわなあ。以前出て来た猿の彼女や。今はカミサンやけどな。
(因みに、可愛くないで。(笑))


さあ、落書き11はセンセに書いてもろたから、落書き12といこか。

「賃貸」3

「こちらが子豚ぺちゃ子さんです。」(仮名にしてもあんまりか?(笑))
俺は渡辺に子豚ちゃんを紹介した。
渡辺はニコニコと愛想笑いを浮かべて子豚ちゃんに会釈をする。
「早速ですが、契約書に目を通していただけますか?」
渡辺がちらりと子豚ちゃんを見る。
「子豚さんにはすでに内容を説明してありまして、署名も済ませて頂いてます。」
渡辺は契約書を覗き込む。薄半紙にワープロで書かれた契約書だった。
「内容は私が読んでも分かりません。お任せします。」
渡辺はそう言うと、俺に頭を下げる。
「そうですか。分かりました。それでは、この空欄の特約事項の記入をさせていただきます。」
そう言うと俺はペンを取る。
「まず、貸主である渡辺さんの要望事項として、お話してある通り前家賃を一年分先払いする旨を書かせてもらいます。いいですね?」
俺は子豚ちゃんに向かって言った。
子豚ちゃんはすました声で返事をする。
「ええ。」
(何がええじゃい!)
俺は吹き出しそうになるのを堪えてペンを走らせた。
書き終わると、次に渡辺に向き直る。
「ところで渡辺さん。サインをしていただく前に、子豚さんからの要望事項を特約に盛り込みたいのですが、了承して頂けますか?」
渡辺はきょとんとした表情で俺を見る。
「子豚さんからの申し出は、違約金についての事なんです。」
「はあ・・・」
「いや、前家賃を一年分も支払われるわけですから、子豚さんも不安がお有りでしょう。ですから、もしこの契約や物件に瑕疵その他が有った場合、その補償をしてもらいたいと仰っているんです。」
「瑕疵・・・ですか?」
渡辺は瑕疵の意味が分からない様だった。
「瑕疵とは、欠点や不備などの事です。例えば、知らされていない自殺等の物件を掴まされた時などの事を心配しておられるんですよ。ねえ子豚さん。」
子豚ちゃんは打ち合わせどおり余計な事は言わず、頷いた。
「それは無いですよ。新築から私の甥が住んでいたんですから、自殺なんて。」
渡辺は大袈裟に両手を振って否定した。
「それはそうでしょう。しかしまあ、知らぬ者同士が契約する訳ですから、そんな心配もお有りでしょう。ですから、その補償事項を特約として明記して欲しいと言う事なんです。」
「で、どんな特約なんです?」
恐る恐る、渡辺が聞いてくる。
「いえ、大した事は有りません。『住居するに支障を来たしたる場合、契約に際して支払った金額の5倍相当の違約金を支払うものとする。』という一文ですよ。」
渡辺は視線を斜め上に据え、頭の中で計算している様子だった。そして急に顔色を変える。
「わ、わたしそんな大金無いですよ!」
前家賃の1年分で150万円。契約料と称する敷金が2か月分で30万円。仲介料が15万円。締めて195万円が契約の際に支払われる金である。その5倍が、約一千万円弱であると言う事に気付いたのだろう。
「いやいや、渡辺さん。この物件はそんな瑕疵の有るものではないでしょう。だったら支払う必要は無い。そんなに驚く必要は有りませんよ。もし万が一そういう物件だったら、これだけ出してもいいですよって言う、つまりは自信の表れみたいなものを明記するだけです。」
渡辺は黙り込んでしまった。
「それに、もし万が一そういう事態になっても、支払いは発覚後1ヶ月以内という付帯事項もつけます。それだと、用意する事が出来るでしょう。土地を売られた渡辺さんには、どうって事無い金額なはずですよね。どうですか?」
渡辺は黙ったままである。そこで俺は駄目押しをする。
「分かりました。それではこういう事にしましょう。私共の会社が渡辺さんの連帯補償をしますよ。もし渡辺さんが支払えない事があれば、私共の会社が貴方の肩代わりをして、子豚さんに違約金を支払う事にします。どうですかこれで。」
渡辺は不安げな眼差しを上げ、俺を見る。
「いいですか、渡辺さん。物件はまともな物ですよね。まさか、住めない程の瑕疵が有るとも思えない。であれば、私共も乗りかかった舟です。連帯して補償しましょう。それで了承してください。でないと、前家賃1年分などという法外な契約は出来ませんよ。まして、ここにこうして契約していただけるお客さんが居るんです。子豚さんの前で言うのも何ですが、この機会を逃がすと、正直言って他にお客さんを探す自信が有りません。これで承諾して頂かないと、この物件自体、責任持って仲介する自信が持てないですね。」
そこで俺は駄目押しをする。
「連帯補償とは、契約者本人と同等の責任を持つと言う事です。万が一違約金を支払わなければならない場合、もしどうしても渡辺さんが払えない状態であれば、何度も言う様ですが私共の会社が肩代わりすると言う事ですよ。安心して下さい。大丈夫です。何も心配する事はありません。ね。」
その一言で渡辺は落ちた。
「そうですか。それ程言われるのであれば・・・そう言う事で。」
同時に渡辺の頭の中では、こういう計算も成り立っていただろう。
「金さえもらってしまえば、瑕疵だろうがへったくれだろうがどうって事ない。トンズラしてしまえばそれで終わりだからな。」と。
しかし、そう上手くは事は運ばない。特に俺たちを相手にしている限りは。

俺が特約事項を記入し、連帯補償の欄に会社のゴム印と代表印を押す。
同じものを3部作る。
一部は借主、一部は貸主、そしてもう一部は俺の控えである。
渡辺はその契約書3部共に署名捺印した。
それを見て、俺は切り出した。
「それでですねえ、渡辺さん。さっき伺ったんですが、子豚さんは今日、持ち合わせが無いそうなんです。ですから、手付として50万円だけを支払っていかれるそうです。」
それを合図に子豚ちゃんはハンドバッグから50万円の札を取り出した。
俺はそれを受け取り、これ見よがしに数えだす。
渡辺はその金に見入っている。
「確かに50万円有ります。このお金は、私共でお預かりいたします。」
そう言ってさっさと子豚ちゃんに預かり証を渡す。
「残金は明日お持ちになられるそうなんで、今日のところは契約書とお金は仲介者である私共の会社が一時お預かり致します。残金をお支払い頂いた時点で、双方に契約書をお渡しし、渡辺さんに部屋の鍵を引き渡して頂きます。宜しいですね。」
渡辺が頷くのを見て、俺は次の日の大芝居に胸を躍らせたのだった。

落書きその13以降へ続く。
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126 氷犬

2002/10/23 23:01

ああ、酔うてるわ。
計算違いや。
>前家賃の1年分で150万円。契約料と称する敷金が2か月分で30万円。仲介料が15万円。締めて195万円が契約の際に支払われる金である。その5倍が、約一千万円弱であると言う事に気付いたのだろう。

訂正文

前家賃の1年分で180万円。契約料と称する敷金が2か月分で30万円。仲介料が15万円。締めて225万円が契約の際に支払われる金である。その5倍が、約一千万円以上であると言う事に気付いたのだろう。

ああ、これやから、飲んで書くとボロ出るちゅうてるのに。(笑)
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127 氷犬

2002/10/23 23:04

駄目押しも2回しとるし。(笑)
あかんわこら。
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128 YOU

2002/10/24 08:51

これは、いわゆるひとつのクイズですねぇ・・。
実践で鍛えまくった氷犬さんの知力(笑)(なにが笑じゃい
・・・・・氷犬陰の声<敬称略>)超敬服。
「子豚ぺちゃ子」・・・って(笑)いうたろかしら・・。(笑)

次回を待つ!早くね・・。
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129 氷犬

2002/10/31 01:55

さあ、久しぶりに、いわゆるひとつのクイズ、行かせて貰いますわ。(笑)

落書きその13

「賃貸」4

翌日、渡辺は約束の3時ちょうどに現れた。
事務所の中を見回すと、問い掛ける様な視線を俺によこす。
「ああ、子豚さんは先程来られましてね、用事が有るからとお金だけ置いて先に帰られましたよ。」
「あ・・・ああ、そうですか。」
渡辺は金の事を聞いて、安心したようであった。俺の手招きでカウンターに座る。
同時に俺は、カウンターの上に札束を置いた。
「契約書は先に渡しましたが、カギはこちらで預かります。後日取りにこられるとの事でしたから。」
「・・・・・はい。」
もう渡辺は金に目を奪われ、細かな事は何も聞いていない。
「それでは、領収書を用意しましたので、これにサインと押印をお願いします。」
領収書の金額を確認する訳でもなく、渡辺は無造作にペンを握った。

事務所の奥、渡辺からは見えない位置に、受話器を持った雉が待機している。俺は横目で雉を見ると、渡辺が押印したタイミングで合図を送る。
間髪入れずに雉が叫んだ。
「しゃ・・・社長!で・・・電話なんですが・・・・」
うろたえる演技は中々のものだった。
「今契約中だ。後にしろ。」
「それが、その契約の事で・・・」
「何だ?誰からだ?」
「子豚さんの代理の方と名乗って居られますが・・・・」
「こっちに廻せ。」
そう言うと俺は側の電話を取った。
「はい、お電話変わりましたが・・・・」
「おう!!お前等やってくれたなぁ!!!上等だ!!おう!こら!!」
あらかじめ少し耳から離しておいた受話器から、普段聞きなれたTの怒鳴り声が鳴り響いた。Tは俺の兄弟である。
「申し訳ありませんが、どちら様でしょう?」
俺の白々しい演技も織り交ぜる。
「どちら様もクソもあるか!!子豚の代理のもんだ!今契約書見させてもらったが、なんだありゃ!!」
渡辺が怪訝そうな眼差しでこちらを見ている。
そこで俺はうろたえ始めた演技に切り替えた。
「ど・・・どういう事でしょう?」
「あんな紙切れ寄越して、それで住めってえのか!?小馬鹿にするのも大概にしろよ!!」
「あの・・・意味が分かりかねますが・・・。」
「今そっちにファックス送ってやるよ!てめえも不動産屋なら、それがどう言う意味か分かるだろよ!」
受話器が叩きつける様に切られる音がした。
「なんだか、興奮されている様で要領を得ない電話でしたが、なんでも契約書に不備が有ると言っているようですね。」
俺が言うと、渡辺はカウンターに置かれた札束をチラリと見た。
すかさず俺はその金に無言で手を伸ばすと、こちらへ引き寄せる。
その時、ファックスの通信音が鳴り出し、着信を知らせる。紙が排出されるまでの数十秒間は、沈黙が支配する重苦しい時間だった。
排出された紙を最初に手に取った雉が、思わずといった感じで短い声を上げ、俺の所へ持ってくる。
その紙を受け取った俺はゆっくりとそれを見て、そして無言で渡辺の前へと差し出した。
「渡辺さん、どういう事です?登記簿のコピーですよこれ。しかも、あのマンションの。」
見る間に渡辺の顔から、血の気が引いていくのが分かった。
「持ち主は、渡辺さんじゃ・・・」
俺の言葉が終わらぬ内に、渡辺は椅子を蹴倒す勢いで出口へ走った。
しかしそこには猿が立ちはだかっている。逃げ出す事はお見通しだった。
「勘弁して下さいよぉ渡辺さん。逃げるって事は、まさか、詐欺ですか?ねえ、このファックス本物なんですか?子豚さんを引っ掛けようとしてたんですか?」
ここで決して「俺たちを引っ掛けようとした」とは言わない所がミソである。
一蓮托生の仲間意識という印象を植え付けるのだ。
渡辺は顔色を無くして、ただ立ち尽くしている。
「まいったなぁ〜・・・・まいった。」
俺は頭を抱えた。
そして渡辺に向き直ると、ファックスを指し示す。
「見て下さいよ、この通信欄。○○組って書いてある。やくざ者ですよこれ。」
渡辺の顔色はもはや蝋燭の様だった。
「参った。参りましたよ本当に。こうなったら違約金でもなんでも払う他ないですよ。」
「そんな金・・・・」
「え?なに?聞こえませんよ。」
「そんな金無いです。」
「何言ってるんですか。土地でも何でも担保に入れて、金作るしかないじゃないですか。」
そんなものは端から無い事は分かりきっていた。しかしあくまでもバカ正直な不動産を演じ続ける。
「初めからそんな土地もマンションも無いんですよ!」
半ばヤケぎみに渡辺が言った。
「じゃあ、初めからまるっきり嘘だらけだったんですか?」
俺の問いかけに、渡辺は頷くばかりだった。
俺は又、頭を抱えてうずくまった。
「ああ・・・お終いだ・・・金を払わなきゃ・・・やくざ者に殺される・・・・・・。」
そしてまた渡辺に向き直る。
「金が無ければ、あんたはきっと殺されます。ええ、私はあんたを奴等に引き渡しますからね。けどそれだけじゃあ済まないんですよ。奴等は私たちも共犯だと思うでしょう。なにしろ、仲介したのも私たちですし、連帯して契約までしてますからね。私たちもあんたと一緒にコンクリート抱いて海の底ですよ。きっとそうですよ。」
「社長!」「社長!!」
雉と猿も演技に加わる。
「お前達も覚悟しとけよ。社員だって一蓮托生だ。殺されるんだからな!」
「社長、一千万くらい、何とかならないんですか?」
「馬鹿言え、今何時だと思っている?3時半だろう。銀行も閉まってる。おいそれと右から左に一千万て大金が用意できる訳ないだろう。」
そこでタイミング良く電話が鳴る。
溜息混じりに受話器を取ると、またTのがなり声が鳴り響いた。
「今日5時にそっち行くからよ!!なんか格好つけとけよ!!いいか!分かったな!!」
一方的に切られた電話を置くと、脱力した様に椅子へ座る。
「なんか格好つけとけですと。5時に来るんですと。もうどうにでもなれだ。」
すると、渡辺はポツリと言った。
「金さえ用意すればいいんでしょうか?」
「金さえってどういう事ですか。その金が無いから困ってるんじゃないですか。」
「金なら・・・・もしかしたら用意出来るかも知れない。」
「どういう事です?」
渡辺は思いつめた行状で語り始めた。
「実は私、単独犯じゃないんですよ・・・・」
掛かってきた。背後を炙り出す罠に、渡辺はまんまと掛かって来たのだった。

落書きその14以降へ続く。
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130 まりかちゃ

2002/10/31 15:28

うわ〜、演技派だなぁ。。。(笑)いよいよ佳境。

そうかぁ。。。演技力も必要なのね。。。_φ(。。)

あー、そうだ、こないだ私が警察に電話した話。。。しましょか?

つい先日の話。職場に電話が掛かって来ました。
私が取ると「○○さんお願いします」○○さんは従業員です。
すぐ変わったのですけれど、○○さんの口調がおかしい。
「ここには掛けて来ないで下さい」とか言ってます。変だな?
その後すぐまた電話が掛かってきて、これも私が取りました。
また、○○さんを指定しています。振り向くと
「いないって言ってください」と言う事で。。。電話に告げようとするとその向こうから「○○、カネ返せ」という言葉が聞こえました。
口調からすると。。。どうもやーちゃんらしい。

電話を切ってから、「どういうことなん?」と○○さんを問い詰めてみた私。こんな電話が職場に掛かってくるのは困ります。

○○さんの話によると、電話でいきなりお金を貸しますとか言って信販会社から電話が掛かってきたらしいです。断ったのに、通帳にお金が振り込まれてきて、それ以降、10日ごとに返せと言って電話があり、脅されていたらしい。
最初に送られて来たお金は、18000円、○○さんが一回に払ったお金は23000円、すでに三回支払ったとのこと。

「ちょっと、そんなん払ったらあかんわ。警察に言うたほうがええよ」
それで、速攻で警察に電話しました。私が。。。
警察の人も、なんで通帳にいきなり振り込めるのか??と不思議がってまして、それは私も同じだったのですけれど。自分のことではないしわからない。本人が横にいるので、電話かわって、○○さんと警察の人との話になりました。

結局、翌日警察に通帳その他全部持ってきてくれとのことで、
「行ってちゃんと事情説明して来なさいよ」と言って送り出しました。

翌日、警察に行ったそうです。
そしたら、そういう新手の詐欺っていうか、送りつけ商法と言うか、そういうものらしく。
○○さんは数年前に自己破産をしているらしく、そのブラックリストが闇で流れているらしい。それでいきなり通帳にお金が振り込まれると言うことが起るらしいのですね。
もともと、勝手に送りつけられたものですから、借用書もないわけで、払う必要もないお金です。もっと早く言って来てくれれば良かったのにと警察の人にも言われたとか。

強気な人には通じないやり口ですが、気の弱い人や、おつむの弱い人には通じるわけで・・・いろいろ考える人はいるものですね。
通帳、その他電話番号とかも全部替えるようにとアドバイスを受けたそうで、職場にかかってくる電話には「やめた」と言うことに決定しました。いずれ、電話も掛かってこなくなるらしいです。

無認可の金貸し、やくざやさんの資金源みたいですね。あんまり、割がいいとも思えないけど・・・最初の電話対応で弱気そうな人に当たりをつけるのかしらん?などと余計なことを考えてしまいました。一回返金があれば元は取り返せる。。。

皆さん、気をつけましょう。
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131 YOU

2002/10/31 21:14

そろそろ、キャストを考えたくなってきました。
だって、やりとりの様子が浮かんできそうなんだもの・。
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132 氷犬

2002/10/31 21:59

羨ましい。
大歓迎やけどなあ、そんな勝手に振り込んで来る様なアホ。
わしも頼んでブラックリストに載せてもらおかな。(笑)

借金の返済も含めて、金を出す場合はすべからく、よ〜く考えて出しましょう。
支払い要求が有った場合、それが支払うべき金かどうかに関わらずいっぺんでも支払ってしもたら、支払う意思が有ると見なされ以後の請求を拒否出来なくなる場合があるからな。
(身内の借金の肩代わりや立替の場合が、その最たるもんや。払う気が無ければ、最初から最後まで払わん事。いっぺんでも払うたら、最後まで払う腹積もりが必要や。)

YOUさん、
子豚ちゃんは、若かりし頃のきききりん(ユウキチホ)やで。それも、けばい化粧させた。(それでもまだええ方や。(笑))
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133 YOU

2002/11/01 19:29

子豚ちゃん チャーミングなんですねえ(爆)
悠木千帆(なんかちょっとちがう・・かも)改めきききりん
さんって、うらやましく男にもてるひとやから。。
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134 YOU

2002/11/04 22:22

氷犬さんの今シリーズを読んでいて、また「白昼の死角」読み
たくなってきた。倉庫を探せばきっとあるはず・・。と思い
つつも・・ネットで探したらあったので注文。
読んでるとこです。相変わらずぞくぞくするわ。

しかし、、注文サイトの書名は「白夜の死角」 だったよ。
ちょっと不安だったけど、「白昼の死角」 がやってきて安心。
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135 氷犬

2002/11/04 23:07

YOUさん、
「白昼の死角」読みたくて「白夜の死角」注文するあたり、チャレンジャーやなあ。(笑)

わしも読んだ事ないから、今度読んでみるわ。
(もし読んで、わしのがその焼き直しみたいなもんやパクリみたいなもんやったらどないしょ。顔面真っ赤やで。(笑))

「賃貸」の続きはまた明日。
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136 YOU

2002/11/06 21:25

「白昼の死角」は戦後まもなく、の設定ですから、かなり勝手が
違うでしょうが、読み返しても、とても面白いです。
<とっくに実践ずみや!>と氷犬さんはいわはるかも!
パクリ・バッタ・サルベージ・・私はこの本で学びました。
(それと和久峻三「仮面法廷」と。)
世の中、こわいなあ・・と思ったものでした。

自分が第三者だったら、文句なく面白いです。


で、明日って?   明日はどっちだ♪〜



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137 氷犬

2002/11/07 00:18

く〜〜!!
尾藤イサオが出て来るか!あのエンディング、カッコ良かったなあぁ〜!!
あの伴奏に、地道なトレーニングの重苦しさを連想したんはわしだけや無いやろ。あ〜思い出しただけで身震いするほどええわ。わしの生涯の名曲やで。

と、感慨にふけるよりも落書きいこか。

落書きその14

「賃貸」5

俺の見たところ、渡辺は素人だった。
プロ、或いはセミプロの詐欺師であれば犯さない決定的なミスを諾々と犯す様は、素人以外の何者でもなかった。
そのミスとは、俺の事務所に3度も来た事である。
詐欺を成す上において、最重要事項はその詐欺行為自体がばれない様にする事であり、そしてその次に重要なのは、捕まらない事。利益を上げるのはその次に来る重要事項なのである。
俺の事務所に出向く回数が多ければ多い程、その重要事項を損なう危険性が高くなる事は明白である。であれば、その危険を回避する為にも、来社するのは多くても2回程度にするべきだった。玄人であれば2度目の来社の時などは、契約の成否を電話で事前に確認するくらいの事は当然の事なのだ。それさえもせずにのこのこと現れる渡辺を見て、俺は渡辺が単なる操り人形である事に確信を持っていた。
その操り人形の糸を引く者。それが今、暴かれようとしていた。

「単独犯じゃないって、どういう事なんですか?」
「・・・・」
「ここに来て私達に隠しても、どうしようも無いんじゃないんですか?私達だってこうなりゃ共犯ですよ。もしその人達に言ってどうにかなる物なら、どうにかしましょうよ。」
俺が言うと、渡辺は頭を掻き毟ってカウンターの上に突っ伏した。
俺はそっと渡辺の手に両手を添える。
「やくざ者に殺されるより、その人達に助けを求める事に賭けましょう。」
その一言で、渡辺は完全に落ちた。
少しづつ、ゆっくりと話し始めたのだった。

渡辺が奈井江の農家だという事は事実だと言う。
しかし土地が売れた成金であるという事は嘘である。どちらかと言うと貧農と呼ばれる部類に入る農家だった。
道路計画に奈井江の土地が掛かるという話が持ち上がったのは数年前の事。
町は土地売買の話で浮き足立った。
噂で、自分の土地とその隣の土地がその候補地だという事が渡辺の耳に入って来た。ちょうどその隣の土地は離農した農家の土地だった。
渡辺は無理をしてその土地を購入する。次の年にはその数倍の値で売れると信じて。
結局その話は噂に過ぎなかった。
残ったのは荒れた田んぼと、とても払いきれない借金だけ。
やがて生活費にも事欠く始末。
金に困った者のお定まりのコースで消費者金融に手を出し、その返済も滞るとつぎには町金融、裏金融と転落の王道をひた走った。
終いには土地も家も取られていた。
女房にも逃げられ、どうにでもなれと思っていた矢先、裏金融の経営者から金儲けの話を持ちかけられたという。その話というのが、この賃貸詐欺であった。
金融屋が最後の一搾りのつもりで言ったであろう「残った金利分は稼げる。これが最後の借金返済。」と言う甘い言葉が、渡辺を動かした。そして、用意してもらった偽造登記簿等の道具を持って、飛び込んだ不動産屋が俺の会社だったという訳である。

「天田金融という金融屋さんです。」
渡辺が言った金融屋の名前は、俺の予想通りだった。
例のマンションの登記簿に記載されている金融屋なのだ。自分の所有物件を使ったのは、多分詐欺が発覚した後に被害者気取りで事件をもみ消す動きをする為か、或いはその被害者に金を貸し付ける余禄も含みに入れての事だろう。
多分細かな方法もレクチャーしたのに違いない。しかし、ヤマをかける相手までリサーチしなかった事が大きな手抜きだった。
そして「ばらしたら殺す。」位の口止めはしただろう。だからこそ、中々渡辺は言い渋っていたのだ。
「金融屋?であれば話は早いですよ。」
渡辺は不思議な顔をする。
「現金が有るじゃないですか。やくざ者への金を都合できますよ。これは不測の事態です。それくらい分かってくれるでしょう。」
分かってくれるはずはない。これは渡辺のヘマである。切り捨てる以外考えられない。しかし渡辺は俺の言葉に納得した様だった。
天田金融の大きなミスはここに有る。
人選のミスである。
詐欺などする事のできない、業界用語で言う所の「馬鹿」なのだ。

俺はすぐさま、その「馬鹿」と連れ立って天田金融へと向かったのだった。

落書きその15以降へ続く。

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138 氷犬

2002/11/22 00:36

さあ、ここは書き込めるやろか?(笑)

久しぶりの落書きや。

落書きその15

「賃貸」6

「なんのお話ですか?」
訪問した俺と渡辺に、天田はそらっとぼけてそう言った。
俺は渡辺の持ち込んだ物件をやくざ者に仲介してしまった経緯をかいつまんで説明し、それによってどの様な被害が想定されるかを語った。
「ちょっと待って下さい。それじゃあまるでうちが共犯の様だ。」
素直に共犯でございとは語らないだろう。むしろ見に覚えのない事に巻き込まれるのは迷惑とでもいう様な反応を返してくるだろうと俺は思っていた。
事実、天田は俺が予想していた通りの反応を示したのだった。
「そんな寝耳に水の様な話を持ち込まれて、示談金を出せって言われてもねえ。むしろあんた達、その手の強請りなんじゃないの?」
不似合いな口ひげを歪めて天田は言った。胡散臭い伊達メガネの向こうで三白眼が光る。
その時、渡辺が言った。
「そら無いですよぉ天田さん!」
瞬間、俺たちと天田の間に有った小さ目のテーブルが弾け飛んだ。天田が蹴ったのだ。
「お前誰よ!気安く名前呼ぶなや!!ああ!?お前の言ってる事聞いてたら、まるで俺がお前の共犯みたいだろうが!!冗談じゃねえぞ!!」
天田の一喝で、渡辺は何も言えなくなった。
俺は大きく溜息をついた。その溜息の本来の意味は、この茶番にうんざりしてのものである。しかし天田達にはそう聞こえなかっただろう。
「渡辺さん!いい加減にしてくださいよ!!この期に及んで嘘つくなんて・・・どうするつもりなんですか?!このままじゃあ、殺されますよ!あなたも私も!!」
渡辺は尚も消え入りそうな表情になってしまった。
それを見ていた天田がずるそうな表情を押し殺して言った。
「金で済む話でしょう。」
「その金が問題なんですよ!」
俺は切羽詰った表情を作って言う。
「失礼ですけど、そんな金回りに困っている様には見えませんが。」
口の利き方を知らない男である。しかし俺はそれを突っ込みはしなかった。
「有りますよ。有るけど、こんなに忙しい金は動かないですよ急には。」
「そうですか。大変ですね。」
一歩引いた。
天田の駆け引き。
俺はまた大きく溜息をついた。
天田の喉下まで「貸しましょうか?」という言葉がせり上がって来ているのが手に取る様に分かる。
そこで俺から水を向ける。
「天田さん、金融屋さんですよね?」
「ええ。」
「貸してもらえま・・・・いいや、やめとこう。こんな話持ちかける訳には行きませんよね。」
天田は黙ったままである。
その瞬間、思いも拠らない方向から絶妙なアシストが入った。
「借りて下さい・・・・返済は私も協力しますから・・・・」
震える声。思い余った渡辺だった。
命には変えられないと思った末の言葉なのだろう。有る意味哀れである。
渡辺を見る振りをして天田を盗み見ると、笑いを押し殺しているのが分かった。


その様な経緯を経て、俺は天田から、10日後の返済期日で1割の利息を支払う契約で1千万円を借りた。
「これも何かの縁です。特別な融資ですよ。本来連帯保証人も付けていただかなければならないのですが、短期間の返済という事ですし、それは付けずにお貸しします。その代わり、利子は高いですが承知してくださいね。」
おためごかしの天田の台詞を、俺は下げた頭の天辺で聞いていた。
下げた顔の笑いを押し殺すのに、一苦労したものだった。

落書きその17以降へ続く。
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139 YOU

2002/11/26 19:00

ちょっと、割り込み。。
単純に考えて最大一万人で3527人・・
実数は、どれだろう・・と計算しそうになってる・・。(爆)

上のスレですけどね・・。

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140 氷犬

2002/11/27 01:16

え?なになに?何の事?
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141 YOU

2002/11/27 08:04

おはようございますー。
↑、本気の ? だった時のために・・(笑)

あのう、琥珀色〜へのカキコミのチャレンジ勝率ですわ。
こっちに書いてしまってわかりにくかった?かなあ・・。
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142 氷犬

2002/12/11 23:02

こっち、すっかりほったらかしになってしもてたわ。
YOUさん、
勝率かあ。な〜るほどお・・・・て、「一万人で3527人」はないでえ。
AV男優やあるまいし。(笑)
毎日取り替えても約10年もかかるで。(毎日ダブルヘッダーでも5年やで。)

さあ、書きかけの落書きでも、そろそろ終わらそか。(月刊やし。(笑))

落書きその17

「賃貸」7

渡辺は姿をくらました。
俺が天田の所から金を借りた翌日から、ぷっつりと消息が不明になった。電話も通じなければ、連絡も無い。
その代わりに、しっかりと天田は連絡を絶やさなかった。
二日と空けず、電話をして来たのだ。
「返済期日まであと5日ですよ。大丈夫でしょうねえ。」
「ええ。なんとか。」これが借りてから2日目の俺の返答。
「返済期日まであと3日だよ。大丈夫だろうねえ。」
「安心して下さいよ。」これが借りてから4日目の俺の返答。
「返済期日は明日だぞ。大丈夫か。」
「大丈夫ですって。目途はつきましたから。」これが借りてから6日目の俺の返答。
そして返済の日の俺の返答。
「今日が返済期日だなあおい。何時頃持って来るんだ?」
「な〜にが〜?」
「・・・・・・・あぁ?」
天田は我耳を疑った様に聞き返した。
俺は天田の反応を待った。
痺れを切らした様に天田が言う。
「返済の金だよ!何時頃に持って来るんだって聞いてんだよ!」
「な〜んの話かさ〜っぱり分からんわ。寝ぼけてるんとちゃう?おたく。」
「なんだとぉ!?こら!!」
「いたずら電話かなんか知らんけど、い〜加減にしてちょ〜だいなあ。」
半笑いの小馬鹿にした言い方が効いたようで、電話は直ぐに叩き切られた。
そして間もなく3人のチンピラが俺の事務所に入って来た。俺達が逃げを打たない様に、あらかじめ事務所に張り番を付けていたのだろう。
そのチンピラが入って来たと同時に、雉がニコニコと事務所のシャッターを閉じたのだった。

そのシャッターが外側から蹴られたのは、雉が閉めてから約20分後だった。




ああ、終わらせようと思うてここまで書いて、気力が尽きた。(笑)
もうちょっとやけど、今日はここまで。(出し惜しみやないで。ちょっと事情があってなあ。)

で、落書き18以降へ続く。
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143 YOU

2002/12/12 07:52

おはようございまーす。
ここで、きられちゃうとは・・・。プロポーズの返事待ってる
よう・・です。 yes? yes? yes?

(事情、がんばってください。<笑>)
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144 まりかちゃ

2002/12/12 14:19

あう〜、いいところで。。。事情。。。(笑)
またネタですか?と言っておこう。。。

事情より、情事のほうが好きだよね〜、氷犬さんは(笑)
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145 氷犬

2002/12/18 23:17

ああ・・・・酔うてない時は書く暇無いし、書こうと思うた時は酔うてるし。あかんわ。

書きかけの、今年中には終わらせたいなあ。

YOUさん、
>事情、がんばってください。

なぜか顔赤らめる氷犬であった。(笑)

まりかちゃさん、
>事情より、情事のほうが好きだよね〜

なぜか更に赤みが増す氷犬であった。(爆)



新年は新スレ、新しい話で行きたいわ。そやから、年内には必ず終わらせるで。(あと数行やし。)・・・・(<って書いてる暇に、終わらせられるんやないやろか?(笑))
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146 YOU

2002/12/19 07:54

いえてる。。(笑)
削除キー   

147 氷犬

2002/12/29 16:11

あ〜、今年中に終わらせられへんかったわ。
まあこれもご愛嬌ちゅう事で。(笑)・・・・笑い事やないか。

来年早々には終わらせよ。

それでは皆さん、良いお年を!
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148 YOU

2002/12/29 16:23

わー  氷犬さまー
二年越しでまってますう!!!

どうぞ、よいお年を!
(ちなみに私は年、もういりませんから)
削除キー   

149 

2002/12/31 04:48

涙。。。。。。。。

終わらなかったんだ。。。
削除キー   

150 

2002/12/31 04:50

あっ!しまった

皆様、よいお年を!
(おいらも年は十分ですから、もういりません)
削除キー   

151 氷犬

2003/01/06 23:54

あけましておめでとうございます。
ようやく帰ってきました。
しか〜し!明日からまた忙しモードで全開ですわ。
けど、なるべく早く「賃貸」終わらせて、新しいスレ立てます。(切りわるいから、もうレス150突破やけど立てづらいんよなあ。さすがに重いわ。)

そんな訳で、今年もスロ〜ぺ〜スで展開していきますんで、どうぞ気長にお付き合いの程、宜しくお願い致します。
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152 うる

2003/01/07 10:43

あけましておめでとーございます。
本年もよろしゅうお願い申し上げます。

おかえんなさいませ。
氷犬さん居ない間、札幌でキッチリ留守番してました(笑)
丁度入れ替わりでしたねー。惜しい。
(戻って来るのを察知して、逃げた訳では無い…と思う(笑))

氷犬さんの今年の目標は、オフ参加?
是非一度、『生犬の遠吠え』を。。。♪

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153 YOU

2003/01/07 19:28

氷犬センセ、おめでとうございます。
今年も原稿よろしくお願いします!稿料もお支払いして
ないんですけど・・。えっ、そんなもんはいらんて・・
ありがとうございます!

>両ちゃん 原稿せかそうね。

氷犬さんとうるさんが入れ違ったことは「札幌」の平和
にとって非常にラッキーだったと思われます。(笑)


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154 氷犬

2003/01/30 00:27

両さん、
今週末には終わらせる事が出来そうや。なんとか。

うるさん、
入れ替わりかあ。
そのショックで寝込んでたわ。(笑)
「生犬」?
生は腹壊すで。気を付けんと。(笑)

YOUさん、
長らくお待たせしてしもたけど、(いや、あまり待ってはいなかったかもしれへんけど。(笑))いよいよ今週末には書くわ。
だらだらと、ほんましょ〜もない落書きやけど、尻は自分で拭かななあ。
(人に拭いてもらう様な一年ほど前の不始末は、もうええわ。(笑))
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155 風花

2003/01/30 00:56

ひとのお尻を拭くのも、やってみれば結構慣れるものです。
何なら、氷犬さんのお尻も拭きましょうか?(違

自分で自分のお尻を拭けるって、幸せなことなのかも知れませんね。
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156 YOU

2003/01/30 18:45

氷犬さん・・・寒い・・ですね!(お名前も<笑>)
しかしマイナス4度くらいでうだうだ言ってたら怒られるかも。

>長らくお待たせしてしもたけど・・
ええ、ちゃんと、かつおとなしく待っておりました。
ほんの首がちょっと長くなった程度ですが・・。(笑)
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157 

2003/01/31 18:10

うふっ
明日かな、明後日かな
楽しみにしてよ
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158 まりかちゃ

2003/01/31 23:28

待ってたよぉ!!
鬼の霍乱ですかぁ?(笑)
仕事が忙しいのかと思っていました。。。

そうかぁ。。。氷犬さんも倒れることがあるのね。
お大事に〜。

氷犬さんのベタなボケ?あるいはツッコミがないと妙に淋しい(笑)

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159 

2003/02/01 00:02

ベタって言われてるわ。。。。。。(笑)
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160 氷犬

2003/02/03 01:03

風花さん、
>氷犬さんのお尻も拭きましょうか?

まだ介護必要とする歳やないから、尻拭いてもらうのは遠慮しとくわ。(笑)

YOUさん、
>寒い・・ですね!(お名前も<笑>)

お名前「も」ちゅう事は、他になんか寒いもん有るんかいな?

あ、まりかちゃさんにも「ベタ」て言われとるし・・・ままま・・まさか!(笑)

まりかちゃさん、
べべべ・・・ベタぁ!?
あ。分かった。書き損じやな。
「タ」の後に伸ばしの棒が抜けてたんや。そうや。そうに決まっとるわ。
(は〜〜・・・自分で言うてて、溜息でるわ。 (笑))

両さん、
変な所拾わん様に!(笑)

さて、それでは落書きや。
長々と引っ張ってた「賃貸」、ようやく終わらせる事にするな。
本文の長さはそんなんでもなかったけど、書きかけの期間が今まで出最長やったかもしれへんなあ。さ、とっとと終わらせよ。

落書きその18

「賃貸」8

雉がシャッターを開いた。
腰の高さまで開かれたあたりで、それををくぐる様にして天田が入って来た。
奴は一人だった。
入って来た天田は、事務所の中の光景を見渡して息を呑んだ。そしてその状況を把握した途端、顔色を変えた。
多分乗り込んで来た時には、事務所内を制圧しているのは寄越したチンピラ達だと思い込んでいたのだろう。だからこそ、一人で乗り込んでこれたのだ。
しかし奴の想像とは逆に、事務所のフロアーに転がされているのは血だらけのチンピラが三人。
それを凝視して、天田は声を出さない。唇の色が抜けた様に白い。
「いらっしゃ〜い。」
さすがに髪の毛は掻き上げはしなかったが、俺は桂三枝張りの甲高い声で天田を出迎える。
「お迎えが来た様やで。良かったなあ。」
俺がチンピラに声を掛けると、ようやく搾り出すように天田は言った。
「な・・・何なんだおめえら・・・」
微妙にビヴラートが掛かる声だった。
「そこに転がってるゴミ、早よ持って帰ってくれや。邪魔臭くてしゃあないで。」
「こ・・・こんな事して・・・ただで・・・済むと、思って・・」
「おのれらこそわしらにヤマ掛けて只で済むと思うとるんかい!!お?!」
消え入りそうな天田の声に被せる様にして俺はまくしたてる。
「『何なんだ』てか?!わしらが何なのかもよう調べんとヤマ掛けたんかい!」
一呼吸。
「まあ、そやろな。調べた上やったらヤマ掛けへんわなあ。」
もう一呼吸。
「けどなあ。もし調べた上で仕掛けたヤマやったら、話は違うで。腹ぁ括った仕掛けやちゅうんなら、わしらかて腹括らなならんで。なあ。・・・・どないやねん。お?」
天田は床のチンピラと俺に交互に投げかけていた視線を、自分の足元に移した。
そこまで来て、ようやく天田も理解し始めたのだ。
もはや、この期に及んでヤマを掛けた掛けないという議論が通用しない事をも含めて。

その時である。中の様子を窺っていたのであろう男達が、シャッターを下から覗き込んで声を掛けて来た。
それに気付いた天田は慌てて言う。
「外でまっててよ!!」
天田のその微妙な言葉遣いを聞いて、俺は外で待っているのが天田の会社の人間ではない事に気付いた。多分背後の組の関係者だろう。
「ええやないの。そこのゴミの片付けも有るし。みんな中に入れたりいな。おう、雉、シャッター全開や。」
雉は素直にシャッターを開いた。
外に待たせていた若い者は三人だった。男達は、中で伸びている男達を見て色めき立つ。
天田はその雰囲気を背中で感じ、引くに引けない思いを抱いたのだろう。つい先程までの弱気な視線が嘘の様に、目に力を入れる。
「氷犬さん、あんたが誰であろうと関係ない。こっちにはこれが有るんだよ。」
そう言うと、スーツの内ポケットから借用証書を取り出した。
「それがどないしたん?」
俺はニヤニヤしながら鼻をほじった。
「これが有る限り、貸した金は払ってもらわんと。」
「そんなん、只の紙切れやないか。」
「なに言ってんだ!ここにあんたの署名と押印がちゃんと有るんだぞ!」
「だから?」
「だからって・・・てめえ・・・」
「それ持って、お恐れながらて裁判所にでも駆け込むか?そんな事しても、そこに書かれてる法外な金利のせいで、貸し金業法違反でパクられるのはおのれの方やで。それにな、その借用書の代表印、本物と思うとるん?」
言いながら俺は、持っていた丸印のキャップを外し、それを天田に向けた。
天田はまさかと言う様な表情で借用書を開く。
そして丸印と見比べようとした瞬間、俺はすかさずその借用書を引っ手繰った。
「こんなもん有るから、諦めきれずにゴタゴタ言うんや。」
言いながら、俺はその借用書をビリビリと引き裂いた。
「てめえ!!」
掴みかかる天田を、俺は突き飛ばした。
後ろに控えていた三人もさすがに身構える。
「がたがたと騒ぐなや!!おうこら!!おのれら何か?その証文でわしらを追い込んで切り取るつもりか?そんならきちっと腹あ括って来いや!!お!!おのれら何処に追い込み掛けるつもりか、充分に分かってやってるのやろな?!おうこら!!」
そこで俺は、組の名前をだした。
後ろの三人が、視線を彷徨わせたのを俺は見逃さなかった。こうなれば、勝ちである。
俺は最後のとどめをさす。
「おのれから貰うた金は、わしらにヤマ掛けた迷惑料ちゅう名目で組に流しとるんやで。切り取るんやったら、組にでも行くか?お?」
俺は、天田の所の後ろ盾になっている組を既に調べ上げていた。規模からすると、うちの組と大差無い所帯。しかしその当時、うちの組はGさんを筆頭に凄まじい勢いを得ていた。そんな組と事を構える勢いが相手に無い事は十分に承知していた。ましてや先にヤマを掛けて来たのは向こうである。大儀はこちらに有る。奴等がたかが一千万位の事でこれ以上粘って、組を巻き込んだ大事にしたいと思うはずが無い事は計算済みであった。
そして奴等は、俺の描いた演算子の通りの反応しか出来なかったのだった。

奴等が引き上げていった後、雉が言った。
「まるで素人だよなあ、あいつら。」
雉が言っているのは、俺に対する金の貸方だった。つまり、担保も無しにポンと一千万もの金を証文一枚で貸し出す事がまるで素人だと言うのである。
「いや、あながち素人とも言い切れんで。現に、貸す時にはわしに担保求めてきよったわ。けど担保設定する様な時間は無いてわしが断ったんや。そしたら手形切れて言うて来たわ。」
「当然でしょうね。けどそれも断ったんでしょ?・・・・それならなぜ貸したんだろ。」
「素人や無いからや。有る意味な。」
雉は不思議そうな顔をした。
「やくざ者やからや。組織を背景にして、どんな事してでも切り取るちゅう妙な自信が有ったんやろ。そんな所は、わしらも気を付けんとならん部分やで。」
そこで猿が口を挟んだ。
「妙な自信を持ってるのは、社長でしょが。」
俺が猿に蹴りを入れようとしたその時、事務所の扉が開かれた。
「よう!兄弟!出演料貰いに来たぞ。」
入って来たのは腕自慢のやくざ者、俺の兄弟のTだった。
電話で一芝居打った時に、電話口の向こうでガナリ立てていたのはこのTだったのだ。
「あ、妙な自信の有る人がもう一人来た。」
そういう猿の背中を、俺は次の瞬間蹴っていた。
何がどうしたのか理解できずに、Tはきょとんとして入り口に佇んでいた。
笑っているのは俺たち三人だけだった。

後日、俺の手元に有った一枚の領収書を、天田に送りつけた。契約の折に渡辺の残して行った領収書である。その金額欄に多少大目の金額を書き込んで。
それを天田がどう言う意味に受け止めたのか、俺は知らない。
そして、天田がその後、どんな行動を取ったのかも、俺は知らない。

「賃貸」終わり。

ああ、あと数行で終わるて書いてたけど、書いてたらどんどんどんどんと長くなるのな。最近の悪い癖や。
歳とると色んな所で切れが悪くなる様やで。(笑)
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161 かなめ

2003/02/03 16:23

お疲れさまでした〜
満腹満足♪

何だかブラックな水戸黄門って感じだなぁ(笑)
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162 YOU

2003/02/03 20:49

祝!完結。二年にわたっての連載(笑)お疲れ様A

寒いのは季節ですって!それと名前。その他他意は
ありません。ほんとですって!

経済犯もの、好きです(笑)
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163 

2003/02/04 00:21

はやくぅ〜〜って催促したみたいでごめんねぇ〜(ほんとにしてたんだけど、爆)
遅い時間までごくろうさまでした。

またの新作を期待してます。
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164 氷犬

2003/02/04 02:17

かなめちゃん、
ブラックな水戸黄門かあ。(笑)
言うなれば、水戸黒門・・・・なんか汚そうやなあ。(変な方向に考え過ぎやな(笑))

YOUさん、
言われて見れば、足掛け2年の落書きやったんやなあ。
って、調べたらこの「賃貸」の最初の書き出しは、9月16日なんやな。
ほぼ4ヶ月半や。
いかにだらだら〜〜っと書いてたか・・・・
よっしゃ!今年の抱負は「色んな意味でキレの有る書き込み」としとこか。

ところで、
>ほんとですって!

って言い張る所が返って怪しさを醸し出しとるがな。(笑)

両さん、
>遅い時間まで

いやいや、早い時間よりも楽やし。夜行性動物のわしとしては。


そんな訳で、慰労の言葉を掛けてくれた皆さん、ほんま有難う。
けど、先にも書いたけど、だらだらと4ヶ月半も掛かって書いたもんや。
それも、一連の落書きの中でも、さほど長い内容やない方や。
つまりは、「楽して書いた」ちゅう事やな。
逆に、こないにだらだらとした書き込みを根気よう最後まで読んでくれた人たちの方が、よっぽど大変やったやろと思うわ。
そやから、厭味に聞こえん様に祈りつつ、わしの方から言わせて貰うで。
「皆さん、ご苦労様でした。」(笑)
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165 まりかちゃ

2003/02/04 13:08

完結おめでとうございます〜。

ベタじゃなくてベターの間違いでしたね(笑)
どっちかと言うとバターのような?(笑)

・・・一言多い所以・・・

楽したかどうかはともかく、時間がかかったところでちーともかまいませんよ〜。
お気楽な読者としては、ハイペースでぶっ飛ばしてる氷犬さんのほうが不思議だったもん。(笑)

つか、最近氷犬さんにツッコム自分がちと怖いのであるよ(笑)
まさしく、怖いもの知らず?
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166 氷犬

2003/02/06 02:10

まりかちゃさん、
ハイペースが不思議やったかあ。
けど、毎日更新してた頃も、わしとしてはそれ程ハイペースとは思うとらんかったんやけどな。
落書きも、小一時間位でだだだ〜っと書いてたから。(たまにはずるしてタイピングを人にさせ、校正とレスだけ自分で書いた事も間々有ったけど。)

けど最近は、何かとPCの前にも座れん日が多いからなあ。どうしてもスローペースになるわな。
ま、ぼちぼちと書いて行くわ。


けど、
犬に向こうてバターて・・・・
ある意味わしに突っ込む事よりも怖いで。(笑)
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